さる12月5日〜10日まで、今後のラネックスの海外展開の為の情報収集にフィリピン セブに行ってきました。
「海外展開」といっているのはアウトソーシングを基本としたセブと日本とのビジネス協業です。
なぜ今「海外展開」を考えるのか? 2つの理由からそれが必要だと考えています。
1つは、ソフトウェア開発時のコスト削減による価格競争力をつけるため。
1つは、技術者の採用が難しい現状において、海外の優秀な技術者を確保するため。
海外の企業と連携する場合、“どこの国が適切か?”という問題を最初に考えなければなりません。
わたしたちはIT企業ですので、通常はその国の経済成長レベルに合わせて国を選定します。
経済成長が進んでしまった国では、すでに日本企業が進出、もしくは現地企業が成熟しており参入しづらいですし、逆に経済成長があまりにも進んでいない場合では、インフラが整備されておらず、そもそもIT開発を行うことが出来なかったりします。
さて、アウトソーシングを行う際の大きな壁となることが2つあります。
1つは言語の壁、もう1つは文化の壁です。
“言語の壁”は、仕様書のミス解読につながり間違ったプログラムの開発につながってしまいます。
“文化の壁”は、仕様書に書いていないこと(日本人であれば当然、このように補填開発するような部分(例えばif分におけるelseの部分記述の省略など))で、仕様書を作成した日本側が想定しないプログラムの開発につながります。
私は、現在の会社にくる前に、他のソフトウェア会社でエンジニアとして働いていました。
10年ほど前になりますが、その時にお客様先の大規模プロジェクトに参加した際、海外のエンジニアも参加しており、彼らと一緒にプログラムの開発を行いました。
その際も、上記の2つの壁により多大な追加工数がかかってしまい、結果日本人のエンジニアで開発するのと変わらないレベルにまでなっていたと思います。
そのプロジェクトで開発を行った際に、ある一人のフィリピン人のエンジニアと一緒に仕事をしました。
彼は日系ITメーカーのフィリピン法人に勤務しており、プロジェクト終了後も別プロジェクトで度々日本にきており、その度に情報交換を行ってきました。
そしていつかは、一緒に仕事をしたいねと話をしてきました。
今回、海外連携先としてフィリピンをターゲットにしている理由は彼の存在です。
彼は10年以上日系企業にて、日本からの仕様をベースに開発を行ってきており、日本のソフトウェア開発文化を知ったうえで開発を行えるためです。
フィリピンは、経済成長レベルだけで判断した場合、ミャンマーなどよりは若干劣るかもしれませんが、現地に彼がいるというアドバンテージは、それを補ってあまりあると思います。
ただ、彼というエンジニアは信用出来ますが、他のエンジニアのことは一切分かりません。また、彼らが実際にどのような環境で仕事をしているのかも分かりません。
そこで、実際に現地に行き、他のエンジニアとも話をし、彼らがどのような技術を持っているのか?どのような考えで仕事をしているのか? また、フィリピンという場所はどのような場所なのかを知ることが今回の渡航の目的でした。
さて、話をもどして滞在時の話をしたいと思います。
現地では、彼に様々な場所への案内と現地エンジニアとのミーティングのセッティングをお願いしました。
おかげで実に有意義な時間を過ごす事が出来ました。
まず行ったのは、セブシティ中心部にある“ITパーク”。ここにはITに関連した企業が集中しており、数多くの海外からの企業も支店を出しておりました。
また政府からのある程度の優遇措置もあるようでした。
街の中を歩き回った後、現在彼が所属している会社(Global Fusion)を訪問しました。(彼はこの夏、日系企業を退職し、こちらの会社に転籍しておりました)。この会社はアメリカに本社を持つ会社で、フィリピン支社には25名ほどのエンジニアが開発を行っておりました。
ここで、支社長のJohn Mark Niar氏を訪問し、Global Fusionで行っている開発、技術を伺ったり、もしラネックスからアウトソーシングした場合どの様なスキームになるかなどを話しました。(写真を取り忘れたのがイタイ)
また別の機会では、彼が以前所属していた日系企業の現地法人で働く現地のエンジニアと話をさせて頂きました。
彼らには、どのような技術を持っているのか?技術者としてどのような姿勢で仕事をしているのか?など話をしました。
どの技術者も一生懸命自分の紹介をしてくれた感じがあり大変ありがたく思いました。
彼らは要件定義フェーズや設計フェーズはあまりやっていないようで、ラネックスで直接お客様から要件を伺い、設計し、開発、納品をしている話をしたら大変やりがいがありそうで羨ましいといっていました。
夜はまた別のエンジニア達とミーティングを持つことが出来ました。彼の会社の部下、今まで知り合った中で生え抜きのメンバーなど5名ほどとのミーティングの予定でしたが、そのエンジニアがまた他のエンジニアにも声をかけてくれて、多くのエンジニアに来てもらえました。
彼らにも同様に、彼らの行っていること、持っている技術、経験などを聞いたのですが、彼らは自分のスキルに自信と誇りを持っていることを痛切に感じました!「経験は2年半のプロフェッショナルです」と、堂々と答えていたのが印象でした。
フォーマルなミーティングはここまででしたが、実に多くの情報を仕入れることが出来ました。
翌日以降は、観光に行ったのですが、前日きてくれたエンジニアのひとり(Mr.Bhans)も同行してくれて、私生活などについてもいろいろ教えてくれました。
また、元ITエンジニアのFreddyとも行動をともにし、本当に充実した時間を過ごせました。
最終日は、今後のスキームについて彼と方針をまとめました。
まずは小さい単位で実験的に進め、様々な問題を解決しながら今後のスキームを検討して行きたいと思います。
ここまでは、私ひとりで動ける範囲でしたが、ここから先は会社として、技術者の意見も取り入れながら具体策を検討して行きたいと思います。