ふたり旅はやらないほうが良いということが、14万円程度使った四国への旅行で分かった。
一緒に行った相手は、考えも、趣味も、価値観も違う不細工で肥満な男だ。
滞在先のホテルのベッドの上で目覚めると、自分は彼を背に向けてギリギリ落ちないところで寝ていた。
豚を醜くしたような容姿なので、顔をできる限り見ないようにしていた。
恐らく、自分がマトモに彼の顔を見たのは旅先で5日間で4回程度で、すべて不意に見てしまったものだ。
旅の計画時から旅の終わりの直前まで彼の言葉、行動にイラついた。
両親ともに二重だし、子供も二重で綺麗なお顔だ。
自分は美男美女の子供と、豚みたいな友人の容姿をずっと見比べていた。
世の中が、女性が、どうして容姿の醜い人間を相手にしないのか、大事にしないのかが良くわかった。
もし、醜男ではなくて容姿のいい女なら自分はとても優しくしていたのだろう。
別にそれだけならどうでもいい。
醜いもの同士だから、一緒に旅行に行かなければいけなかったのだ。
また、旅行前から感じていた醜い容姿の彼に対して抱く不快感は、世の中の人間が自分に対しても思っていることなのだろう。
通りで自分に対して酷いことを世の中はするのだ。
自分は顔の皮膚が以前飲んでいた腎臓の病の薬の副作用でニキビ跡やら赤み、吹き出物でめっちゃくちゃなのだ。
そしてパーツも悪いし、顔は大きい。おまけにくせ毛で背も低い。
最悪なのは、絶対に何時か病が悪化して、また薬を飲まなければいけないのだ。
下手したら彼よりも悪い。
整形も問題なく行える。
最悪だ。
自分はそもそも整形が出来るかもわからないし、良くなるかもわからない。
ただ、彼より自分が優れていることがある。
彼に初めて出会った中学生のときから自分の家のほうが裕福だったが、現在はさらに富んでいる。
だが、自分は持病持ちで、肌が汚く、醜い。
旅行で使った金で、片目は二重に出来た。
ふたり旅はやらないほうが良い。