ここから本文です

マイナス金利→困難な運用 保険料値上げ→生保苦境

産経新聞 2月20日(土)7時55分配信

 日銀が導入したマイナス金利で、生命保険各社が苦境に立たされる恐れが出てきた。顧客から預かった保険料の運用が一層困難になると見込まれるほか、一部商品の保険料値上げにより顧客離れが懸念されるためだ。また高利回りの外国債券での運用は不安定な外為相場が逆風となる。業界からは「長引けば体力勝負の様相が強まり、再編機運が高まる」との声も上がる。(飯田耕司)

 ◆長引けば再編も

 「日本国債を中心とする運用はもはや困難」

 生命保険協会の筒井義信会長(日本生命保険社長)は19日の会見で、マイナス金利の影響について危機感をあらわにした。

 預かった保険料の3~4割を20~30年の日本国債で運用する生保会社は、かつての高金利時代の国債を多く保有しており、ただちに経営危機には直結しない。債券への投資額の平均回収期間は約15年で、仮に5年間低金利が続いても、影響は3分の1程度にとどまるからだ。

 ただ、低金利が長期化すれば、償還期限を迎えた高利回り国債の切り替えにより、金利の低い国債の保有割合が増える。生保大手幹部は「経営にボディーブローのように効いてくる」と打ち明ける。

 5年前に2%台だった20年国債の金利は現在、0・7%台まで低下している。主要生保各社は、保険契約者に約束した運用利回りを得られない「逆ざや」をようやく解消したばかりだが、体力の弱い中堅生保を中心に、再び厳しい経営状況を迎える懸念が高まっている。

 ◆試される運用力

 各社は利回りの高い外債や環境関連事業、インフラ事業など成長分野に資金を投じ、運用の多角化を急いでいる。

 ただ、ドルの調達コストが上昇するなど外債の魅力も薄れてきた。優良な投資先をいち早く見つける運用力が試されそうだ。

 マイナス金利の影響で、富国生命保険や第一生命保険傘下の第一フロンティア生命保険などが貯蓄性の高い一時払い商品の販売の一部停止を決めた。筒井会長は「(運用リスクの取り方を変えるなど)価値観を変えないといけない」と危惧する。

最終更新:2月20日(土)17時18分

産経新聞

TEDカンファレンスのプレゼンテーション動画

カミール・シーマン: 嵐を追いかけて
写真家のカミール・シーマンは嵐を追うようになって5年になります。この講演で彼女は激動する空の圧倒的で不思議な写真をお目にかけます。

本文はここまでです このページの先頭へ

お得情報

その他のキャンペーン