【北京=大越匡洋】中国指導部は20日、証券当局トップである肖鋼・証券監督管理委員会主席の更迭を正式に決定した。中国国営新華社が伝えた。後任には中国農業銀行董事長で、中国人民銀行(中央銀行)副総裁を務めた経験のある劉士余氏が就いた。肖氏は2015年半ばから続く中国の株式市場の混乱の責任を問われたとみられる。
中国では今年に入ってからも上海株式市場の株価が急落した。相場の急変時に取引を強制終了する「サーキットブレーカー」制度が相場の混乱に拍車をかけた形で、証監会は導入したばかりの同制度を数日で停止する事態に追い込まれた。後手に回る当局の対応に世論の批判が集まっていた。
肖氏は13年3月に中国銀行から証券当局トップに転じた。借金で株式を売買する信用取引を引き締め、15年夏の株価の急落を招いたことで、かねて更迭論がささやかれていた。中国の株式市場で大半を占める個人投資家の不満は抗議デモなどの社会不安につながりやすく、習近平指導部も世論の動向を注視してきた。
習指導部には肖氏の更迭によって、指導部全体に跳ね返りかねない世論の不満を沈静化したいとの思惑がありそうだ。もっとも、中国を震源とする世界的な市場の混乱は人民元相場の下落の影響が大きい。海外では元相場を管理する人民銀の市場との対話不足を指摘する声が多い半面、中国国内では証券当局だけが批判にさらされてきた。
証券トップの更迭は、今後の金融当局の組織改革の議論にも影響を与えそうだ。人民銀や証監会などに分かれる金融当局の統合・再編がかねて検討課題となっており、組織や権限の再編成につながる可能性もある。
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