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 欧州連合(EU)は19日、ブリュッセルで開いた首脳会議で、英国がEU残留の条件として求めた改革案で合意した。金融規制や移民労働者への対応で英国の要求をのみ、大幅に譲歩した内容だ。英国のキャメロン首相は、この合意を踏まえ、EU離脱か残留かを問う国民投票を6月下旬にも設定する見通しだ。

 首脳会議の声明によると、移民労働者の流入が例外的に増えた場合、緊急措置として、低所得者向けの税控除などの社会保障を入国後最大4年間制限できる。この措置は最長7年間続けられる。共通通貨ユーロを採用する国々の金融関連の政策について、英国など「非ユーロ圏」が1カ国でも反対すればEUの加盟国で協議するとした。

 また、EUに対してさらに主権を委譲するなど政治的な統合の深化に、英国はこれ以上加わらない。これは次のEU基本条約改正に盛り込まれるという。

 フランスやベルギーなどが、ユーロ圏の決定に非ユーロ圏を関与させることは、EUの経済統合のブレーキになると反発。移民への社会保障の制限には、移民を英国などに送り出してきた東欧諸国から不満が続出したが、最後は、EUの分裂回避を優先させるために大幅に譲歩した模様だ。