韓国政府は12日、開城工業団地から撤収を余儀なくされた企業に対し、第1次の緊急支援策を発表した。
まず南北経済協力保険に加入している110社に対しては、投資損失額の90%、1社あたり70億ウォン(約6億6000万円)を上限とする補償金を支払う。これに伴う総支払額は2850億ウォン(約267億円)に上る見通しだ。また同時に金融機関への返済期限を延長し、新たに特別金利を適用する。企画財政部(省に相当、以下同じ)は法人税、付加価値税など国税の申告と納付の期限を最大で9カ月延長し、すでに告知あるいは滞納されている税金については、徴収や滞納に伴う処分を猶予することにした。電気料金など光熱費についても納付の猶予期間を設ける。
さらに雇用労働部は企業に雇用維持支援金を支払い、社会保険料の納付期限を延長すると同時に、労働者の生活を安定させるための融資も行う。その上で代替地の確保、必要な人員の補充、海外進出など追加の支援策についてもとりまとめ作業を進めているという。
ただ企業側が最も関心を持つのは工団現地で凍結あるいは没収された資産だが、この問題について統一部の洪容杓(ホン・ヨンピョ)長官は「残念だが当分は(北朝鮮との)協議は難しいだろう」との見方を示した。企業側は直接・間接の被害について全額の補償を政府に求めているが、政府は「不可抗力とも言える安全保障上の問題でもたらされた企業の損失について、その全額を国民の税金で補償することはできない」との立場だ。