モノを売る店はなくなるのか
アマゾン、楽天に代表されるように、ネットでの物販の勢いがますます盛んである。従来の小売店は今後どのように変貌するのか。とりわけ物販の未来を考えてみる。
小売店から物販のお店が消える?
昨年秋、自宅最寄駅の駅ビル地下にある本屋さんがなくなりました。駅前にある唯一の書店だったので、「町から本屋さんがなくなる」を実体験することになりました。
この駅ビルはオフィスビルでもありましたが、どちらかというと住宅街なので、住民の多くも出入りします。書店がなくなったことで、あらためてこのビルの地下に入る「店舗」を見直してみたら、全部で12軒。そのうち飲食店が7軒、携帯キャリアや金融機関などのサービス型店舗が3軒、そして残り2軒が物販でコンビニとメガネ屋さんです。コンビニエンスストアがいまや物販からサービスステーションに替わろうとしているので、実態として物販で儲けるお店はメガネ屋さんのみです。唯一のお店がメガネ屋さんというのも象徴的で、メガネは実際に掛けてみて、掛け心地や見え方を確認するという、モノと身体との接点での調整が伴います。モノの購買時点で商品と品物の交換以外の行為が必要ない物販がなくなりつつあるのです。
書店の後には、数か月たったいまも空きのままです。では、ここにどんな業態のお店が入ったら商売が成り立つだろうか。自分で思考実験をしてみました。
最初に思い浮かんだのは、成城石井のようなワンランク上の小売店です(ちなみにカルディは駅の近くにあり賑わっています)。コンビニとは別のお弁当や総菜などの選択肢があってもいいのではと思いました。次は薬局などコスメ系の店ですが、すでに駅周辺に乱立しています。マッサージやネイルのお店も浮かんだのですが、物販のお店がどうしても浮かびませんでした。
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