勝見壮史
2016年2月19日19時12分
進化というよりは、復活。高梨の体づくりを支える牧野講平トレーナー(森永製菓)は、今季の強さをそう捉えている。W杯個人総合3連覇を逃した昨季は13戦6勝止まりだったが、2013~14年シーズンは18戦15勝。その時の状態に「戻していった感じ」だという。
昨季はW杯開幕戦でスキーとブーツをとめる金具が壊れた。従来のものに戻したが、無意識のうちに使う筋肉も変わってしまい、助走姿勢が乱れる原因となった。ちょっとした姿勢のずれだが、気づくのが難しく、飛距離にも影響した。昨季の高梨は筋肉の張りが出る部位が違ったという。
今季は世界選手権や五輪といった大きな大会がない。基本に立ち返る狙いで、土台固めをテーマに夏場から筋力トレーニングに時間を割いた。特に腹筋や背筋といった体の幹となる部位を鍛えた。チューブを肩に巻いて引っ張り、外から力をかけた状態でも体勢を崩さないようにスクワットするなど、姿勢を固める力を蓄えた。
その成果が助走の安定につながり、好調の要因となった。苦手としていたテレマークについても「コツをつかめた感じ」と高梨。空中でも姿勢がぶれず、「最後まで粘って足が一歩前に出せている」。昨季平均52・2点(60点満点)だった飛型点は、今季15戦までで53・9点に上がった。同じ飛距離の場合、ゲート位置や風の補正点などとともに勝負を分けるのは飛型点。その上積みは大きい。
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