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【産経抄】
政府の慰安婦「強制連行」説の否定、朝日の対応に「目が点」 2月20日
俗に、驚きあきれて一瞬、固まってしまうことを「目が点になる」という。19日の朝日新聞朝刊で「本社、外務省に申し入れ」という記事を読み、それを体感した。外務省の杉山晋輔外務審議官が16日に国連欧州本部で、慰安婦の強制連行説をようやく否定した件に関してである。
▼強制連行説が広く流布された原因について杉山氏は、朝鮮半島で女性狩りをしたと述べた吉田清治氏の捏造(ねつぞう)だと指摘した。その上で、吉田証言を事実であるかのように大きく報じた朝日新聞が誤りを認めて読者に謝罪したことも説明した。そのどこが気に入らないのか。
▼「根拠を示さない発言」。朝日新聞は、一連の慰安婦報道を検証した自社の第三者委員会で国際的影響に関して見解が分かれ、韓国メディアへの影響は限定的だとの意見があったことをもって、杉山氏の発言に「遺憾だ」と表明したのである。
▼だが、朝日新聞の第三者委による検証は、当初から追及が甘いと指摘されていた。これに飽き足りない独立検証委員会が平成27年2月に出した報告書は、朝日新聞が慰安婦強制連行説を盛んに喧伝(けんでん)した3年から4年1月以前は、米主要3紙は「慰安婦問題をほぼ無視し、取り上げていなかった」と明らかにした。
▼「繰り返され続けた朝日の虚報が韓国の反日を煽(あお)り、日韓関係を収拾がつかないくらいに険悪化させてしまった」。元朝日新聞記者、長谷川煕(ひろし)さんも、月刊文芸春秋3月号の対談記事でこう明言しているではないか。
▼「自社の立場を弁護する内向きの思考に陥ってしまったことを深く反省します」。朝日新聞の渡辺雅隆社長は26年12月の就任当初、こう訴えていた。とはいえ今回の朝日の対応からは、反省は目を見開いても読み取れない。