前回は、TOEICの性質についてお話ししました。英語にどの程度慣れているか――TOEICはそこを問うてきます。ですので、いくら文法が理解できていてもスコアには結びつきません。逆に文法が苦手でも、英語に慣れている人であれば、たとえテスト問題を解いた経験がなくても、高スコアを取ることができます。
「英語に慣れる」の意味を理解する
しかし、「英語に慣れる」というのはいったいどういう意味なのでしょうか。そもそも、文法を学ぶこと無しに英語に慣れることなどできるのでしょうか――できます。この点を理解するには、つぎの問題を解いてもらうのが、手早いと思います。下の文章の()の中に、選択肢からもっとも適切なものを選んで入れて下さい。
- ①するかもしれません
- ②することがあります
- ③するつもりです
- ④することになりました
さて、どうでしょうか。答えは、もちろん④です。これは“外国人”にとってはかなり難しい問題です。しかし、今あなたは(ほぼ)一瞬で正解することができたはずです。なぜでしょうか。文法が分かるからでしょうか。それとも・・・。
加えて言うなら、もし、この問題について文法を使って解説しないといけないとなると、いったいどうなるでしょうか。想像するのも恐ろしいですね(※)。
英語を効果的につかむ2つの方法
さて、これで「慣れる」の意味、そして文法が大きな障害に成り得る点について、取りあえずは理解していただけたと思います。では、具体的に、私たちはどのようにして英語に慣れていけば良いのでしょうか。方法は2つあります。
1つ目の方法は、英文を、その和訳とともにどんどんと耳で聞き、目で見て、声にも出して読み上げることです。英→日、日→英と何度も聞いて読み上げます。こうすると、英文の中に含まれている規則性(つまり文法)が自然と吸収されていきます。映画・ドラマや洋楽の好きな人が、夢中になって英語(+その和訳)を聞いたり、読み上げたり、暗唱したりしているうちに、高度なリスニング力や会話力を身に付けてしまうのは、その典型例です。とくに映画・ドラマの場合には映像もあり、ストーリー性もありますので効果的です。
1つだけ気をつけないといけない点は、この方法はあくまでも“夢中で”というのが大切なポイントで、「テストのために」というスタンスでいると、なかなか成果が出せません。また、中途半端な段階でテストに手を出すと、痛い目に遭うことになります。とくに、受験英語のテストや問題集はNGです。自分で判断して、最近何だかセリフが良く聞き取れるようになってきたかな? と思え始めたところで、TOEICを受けると450~500点程度は取れるはずです。そして、そのまま「心から楽しんでいるだけ」で、600点、700点とスコアを伸ばすことができます。
この方法の圧倒的な利点は、まず学習が「この上なく楽しいこと」ですが、その他にも大きな利点があります。それは、テスト対策の詰め込み勉強を行うわけではないので、「800点を取ったのにロクに話せない+書けない」というようなことにはならず、使える英語が身に付くということです。ある意味で理想の学習法と言えるでしょう。