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【主張】
慰安婦問題 世界に向け事実の発信を
国連欧州本部で開かれた女子差別撤廃委員会で日本政府は慰安婦の「強制連行」に根拠がないことを説明した。
国連の場で明確に述べた意義は大きい。事実による対外発信を躊躇(ちゅうちょ)なく続けたい。
政府代表として出席した杉山晋輔外務審議官は日本政府の調査で軍や官憲による強制連行を示す証拠はなかったと明言した。外務省がようやく重い腰をあげた形だが、この間、日本の主張は理解されてこなかった。
誤解が流布された原因を含め、事実をはっきり述べたことは重要だ。強制連行説は「慰安婦狩り」に関わったとする吉田清治氏の「捏造(ねつぞう)」に基づいて朝日新聞が事実であるかのように報じ、「国際社会にも大きな影響を与えた」と指摘した。
また、「20万人強制連行」などとする数字の裏付けもなく、朝日が女子挺身(ていしん)隊と「混同した」とした。同紙が吉田証言などの誤りを認め、関連記事を取り消したのは一昨年8月だが、こうした明らかな事実誤認がなお国際社会で独り歩きしている。
官民をあげて、事実を適切に伝える取り組みが重要なことを、改めて認識すべきだ。