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 川崎市の有料老人ホームで入所者の男女3人が転落死した事件で、うち1人の男性(当時87)を4階から投げ落としたとして殺人容疑で逮捕された元職員・今井隼人容疑者(23)が、この男性について「以前から煩わしいと思っていた」と供述していることが捜査関係者への取材でわかった。神奈川県警は介護を巡ってかねてトラブルがあり、今井容疑者が不満を募らせていたとみて調べている。

 県警は19日夜、事件が起きた「Sアミーユ川崎幸町」を捜索。関係資料を押収し、容疑の裏付けを進めている。

 施設などによると、今井容疑者は医療系の専門学校を卒業後、2014年5月にこの施設の運営会社に入社した。亡くなった男性は要介護3で認知症の症状があり、外出を求めることがたびたびあったという。月に5回程度の夜勤では、巡回して床ずれが起きないように体位を変えたり、トイレの介助をしたりしていた。

 入社から半年後の14年11月4日未明、今井容疑者はこの男性について、「部屋にいない」と同僚に通報。ベランダ下に転落していた男性を最初に発見し、心臓マッサージをしていた。同年12月31日に女性(当時96)が死亡した際も今井容疑者が第一発見者で、3件の転落でいずれも救命活動をしていた。

 捜査関係者によると、男性について今井容疑者は県警の調べに、「事件の前から煩わしいと思っていた」「手がかかる人だった」などと供述。人目につかないように同僚の行動を確認し、寝ている男性を起こしてベランダから投げ落としたと説明しているという。