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田中秀征 政権ウォッチ

民主党は直ちに「経済ビジョン」を示せ

田中秀征 [元経済企画庁長官、福山大学客員教授]
【第9回】 2009年11月5日
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 私は『週刊ダイヤモンド』などで、新政権が早急に経済計画の策定に着手すべきだと主張してきた。だが、新政権にはそんな意欲は全くないらしい。

 経済財政担当大臣も兼ねている菅直人副総裁は10月31日の講演で、こう明言したという。

〔11月1日 日経新聞〕
 「私はあえてこの半年は足元の景気を見る」

 これは「成長戦略や財政再建の見通しがないとの批判を気にして」(同紙)の発言らしい。

 これには驚いた。半年といえば、来年の参院選までということか。それまでは展望も指針もなしで経済運営することになる。

自民党・官僚批判の前に
「経済五ヵ年計画」の策定を

 最近の日本のマーケットの動きにはためらいがあるように感じる。それは新政権の経済政策を見究めようとしているからだろう。逆に言えば、中・長期の日本経済の展望を政府が示すのを待ちわびているのだ。

 菅氏はそこで、「自民党のこれまでの経済政策を『中期見通しを何度も出しているが一度も成功していない』とこき下ろした」という。

 財務省の中期計画と混同しているのではないだろうが、これらの発言は間違っている。

 池田勇人内閣の所得倍増計画は別格だったが、多くの経済計画が「成功していない」とは思わない。確かにその達成度だけを見ると成功したと言えるものは少ない。

 だが、少なくとも政権の政策運営の方向は明らかにしてきた。政権が日本経済の方向と指針を示すことは当然の責務だろう。特に現在のような危機的な状況ではなおさらだ。

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田中秀征 [元経済企画庁長官、福山大学客員教授]

1940年長野県生まれ。東京大学文学部、北海道大学法学部卒業。
83年、衆議院議員初当選。93年6月、新党さきがけ結成、代表代行。
細川政権発足時、首相特別補佐。第一次橋本内閣、経済企画庁長官。
現在、福山大学客員教授、「民権塾」塾長。


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かつて首相特別補佐として細川政権を支えた田中秀征が、期待と不安に溢れた現政権の動向を鋭く斬り込む週刊コラム。刻一刻と動く政局をウォッチしていく。

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