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萌えキャラから難民問題まで… なぜ日本では「漫画」が大論争の原因になるのか

なぜ日本の漫画はしばしば国境を越えたニュースの発信源になるのだろうか。
英紙が研究者たちに取材、その背景にある「多様さ」を探った。

from The Observer (UK)
Text by Justin McCurry

今年の5月、日本の志摩市で開かれるG7(先進国首脳会議)はすでに論争を引き起こしているが、その内容は政策をめぐるものではない。志摩市公認キャラクターとされた「碧志摩メグ」をめぐるものである。メグはこの地域で有名な海女の服装に身を包んだ10代の少女をモチーフにした、漫画のキャラクターである。

だが、海女の多くは60代から70代であり、呼吸装置なしで潜って真珠やアワビを取っている。そこで一部の市民が、メグは海女の現実を反映していない性差別主義的な存在であると非難の声をあげたのだ。その結果メグは市の公認から外れたが、独自の“萌えキャラ”として活動を続けている。

日本では、漫画に端を発する論争がよく起きている。たとえば、6歳のシリア人少女をモチーフにした無慈悲な漫画が、SNS上で大きな抗議キャンペーンを引き起こした。そのため、安倍晋三首相が日本はシリア難民を受け入れないと表明した時に反対する声はなかったのに、騒動の後は難民をめぐる論争が活発になったのである。

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COURRiER Japon Vol.136 「価値観〝大転換〞」最前線