読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

ジョジョの奇妙な冒険(スターダストクルセイダース)

www.youtube.com

※昨年放映されたアニメの方では無く、もっと古いバージョンの方

 

ジョジョの奇妙な冒険」、やっぱりベタだけど、「第三部(スターダストクルセイダース)」が好きだった。

魅力的なキャラが満載で、中でも花京院がお気に入りだ。

ディオという「ラスボス」を倒すための旅で、イギーもアブドゥルも、他人のために死んでいった。

更に花京院も、ディオとの戦いに敗れ、最後の命が尽きる瞬間に、ディオの弱点(厳密には「弱点」ではないけど、「スタンド」と書くと説明が面倒なので)を解明し、それを告げて、散った。

「最後の…メッセージです。これが…精一杯です。ジョスターさん、受け取って下さい」

ヒトはどうせ、いつかは死ぬ。ならば、あんな死に方ができたら、ヒトのために死ねたら…幸せかも…

 

所詮、マンガに過ぎない。荒木飛呂彦さんが創った虚構に過ぎないのだが、「第三部」のキャラは、荒木さんの手を離れて、それぞれが独自の命を吹き込まれたかのような活躍ぶりだ。

第三部の最終回、確か空港だったかな。承太郎とジョセフ・ジョスター、ポルナレフが「元気でな」と言って、三人三様、歩き出す。

全く後ろを振り向かず、別れを惜しむことなく、前だけを向いて歩き出す。

そのシーンで終わるけど、「別れはこうでなくっちゃな」…強く共感した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

前回の続きを書く。

初めて借りたアパートで、初めて迎えた夜も、何事も無く過ぎ、朝、目が覚めた。

駅の立ち食いそばでお腹を満たし、紳士服量販店等でスーツや靴等を買った。

痛い出費だったけど、建設業以外の仕事をする以上、

「スーツ位は必要だよなぁ」

と アパートに戻り、着替えて、履歴書用のスピード写真を撮りに行き、スーパーのフードコートで買ってきた「日刊アルバイトニュース」を眺めながら履歴書を作成した。

それにしても、自分の住所を持つということは非常に喜ばしいことだ。

得意満面に履歴書の「現住所」欄に、昨日入居したばっかりのアパート名と部屋番号を記載した。

しかし、アルバイトニュースを眺めるも、「これは?」という求人は無かった。

飲食業で求められるのはみんな18歳以上だった。

「さすがに履歴書にウソの生年月日を書くのはマズイだろう」

そのような自制心が働き、飲食業の求人とマッチングしなかったのだ。

「まぁ、焦ることはない。職業安定所とかでも仕事を探せるしな…」

タネ銭はまだ30万円あった。

節約すれば、蓄えを取り崩すにしても、最低4箇月は生活できるだろう。

「焦ることはないや。そう言えばお腹が空いたな」

「牛丼」と書かれていたひなびたお店があったので、そこに入り、大盛牛丼を注文した。お店は結構な混み具合だ。

「これが牛丼っていうやつかぁ…美味しいではないか~」

と初めての牛丼に舌づつみを打ちながら、お店の本棚に並べてあった「包丁人味平」のマンガを読んだ。

カレー戦争編を読んだところで、

「お腹も満腹になったし、さて、お店を出ようか」

とズボンの後ろポケットに手をやると、思わず、

「ゾクッ」

とした。

無いのである。全財産を入れた財布が無いのである。

マンガを読むのに夢中になってて、盗まれてしまった。

もう、悔しさと情けなさで目眩がした。

「お金を貸しては返してもらえなかったり、蛾次郎に盗まれたりしたけど、最後はこれかよ」

頭の中が真っ白になった。思わず叫びそうになった。

「取り敢えず、ここの代金は何とかしなければ」

しかし、一銭も無いので、はめていた腕時計を外して、

「スイマセン、お金を盗まれたので、これを置いていきます。いつか、支払いますので、担保として持っていて下さい」

店主は表情を変えず「あぁ、そうかい」と言いながら腕時計を受け取った。

「一体誰が盗んだんだろう。斜め前に座ったオヤジかな。それとも店主かな…」

色々と考えを巡らせたが、判っていることは、

「30万円は戻ってこない」

そのことのみであった。

考えてみれば、蛾次郎で3000円、千葉くんで3万円、そして見知らぬヒトで30万円ロスしたことになる。

「次にロスするとしたら300万円かな?」

そんなどうでもいいことを考えながら、夢遊病のように歩いて、アパートに着いた。

もう、俺の気持ちは折れていた。

さすがにアウトだ。白旗だ。アパートに入居したばっかりだけど、引き払おう。そしたら、敷金16000円は戻ってくる。

そのお金で、自宅に帰ろう…もう疲れた…

大家さんに事情を話すと、いたく同情され、敷金は返してくれた。併せて、食事を食べさせてくれた。ヒトの善意と悪意に翻弄され、涙を貯めながら大家さんが出してくれた食事を食べ、お礼を言って、駅に向かった。

「電車賃、正規料金を支払っても1万円位は残るだろう」

自宅の最寄り駅までのキップを買い、車中のヒトとなった。

 

ただ、今となっては思う。誰が盗んだか判らないが、盗人さんが俺から全財産を盗んでくれたので、俺は自宅に戻り、生活をリセットすることができたのだ。

盗人さんが居なければ、多分、商業高校中退のまま、肉体労働、日雇い労働に身を費やしていたかもしれない。

もちろん、実業界に進んで、莫大な財を成すヒトになってたかもしれないが、金を盗まれたりする人間が、実業界で成功する可能性は極めてゼロに近い。

従って、リセットする機会を与えてくれたという意味では盗人さんに、今は感謝している。

因みに、お金の失敗はその後も数えきれない位、しでかしたが、ショボい金額ばかりであり、300万円のジンクスは今の処、無い(笑)。