「note」っていうウェブサイト知っていますか?
最近ものすごい勢いで盛り上がってますね。
noteの特徴を一言で言うと、誰でも手軽に書いたものをウェブ上で売れるようにしたことです。
もともとニコニコとかまぐまぐとかcakesとか、有料ブロマガ、有料メルマガの機能を備えたサイトはあったんですが、そこでコンテンツを売るためには審査が必要だったんですね。noteでは何の審査もなく、誰でもすぐに有料記事を販売することができます。(そもそもcakesの人が作ったサービスですが。)
まあなんというか、パンドラの箱を開けちゃったなって感じがしますよね。いずれ同じような機能を他のウェブサービスも実装していくと思います。アメブロなんかがやったら阿鼻叫喚になりそう。
近年のnote騒ぎは、noteというプラットフォームがすごいというよりも、誰でも手軽に有料でコンテンツを売れるようになるとどうなるか、みたいな感じの盛り上がり方だと思います。
個人的には、noteは優れたサイトだと思います。新参のCGMでこれほど賑わってるという時点で並大抵のことではありません。
UIはシンプルでいい感じだし、「ブログ」や「SNS」の一つではなく「note」という名称を認知させたのも強い。出版文化的なところもうまくウェブ媒体に掬い取っていて、有名な書き手を囲って認知させていく運営手法もなかなかです。
ただ、参入障壁を築けているわけではないと思うんですよね。有料記事のシステム自体は他の大手メディアならそれほど実装するのに苦労しないと思います。
しかし、ウェブメディアはそのコミュニティの空気みたいなものがけっこう重要で、技術的な部分よりもそのコミュニティの特性によって参入障壁が生まれるということはあるかもしれません。集まってくるのが、何を書くかより「どうやって売るか」がメインのイケハヤやはあちゅうみたいな人達ばかりで、「もうnoteっていうのはそういう場所だから。稼ぎたいやつはnoteに来い!」みたいな認識が固まれば、それがnoteというメディアの独自性になるかもしれません。
メディアを運営している人達がそれを望んでいるのかはわかりませんが。
倫理的にどうこうというのもちょっとはあるけど、それよりも、システム(アーキテクチャ)が人間を規定していく上で、情報商材を売りやすい仕組みが整えられるとユーザーがどのように振る舞うのかが気になります。新しい地獄が見られるワクワク感がないこともない。
予想では、色々な抵抗勢力が生まれるにしろ、noteのような教祖と信者を繋ぐ仕組みがどんどん強力になっていくと思ってます。
AV男優の「しみけん」っているじゃないですか。よっぴーとのコラボ記事で話題になりました。
ものすごくシェアされた記事です。たしかに中味はすごく面白い。
でもしみけんってもともと情報商材売ってることで有名でしたよね?「光り輝くクズでありたい」って自分で言ってるし。だから僕はしみけんがあまり好きじゃなくて、彼がビデオに頻繁に出てくるのは嫌です。
noteの有料記事が跋扈する世界って、「自分はクズだけど」って開き直れる人がものすごく強いわけです。
その傾向が進んでいくと、じゃあ良識を担保するのは一体何か、と問わざるを得なくなってくるでしょう。
ベッキーの不倫事件は、なかなか痛ましいものがありました。ベッキーにも非はあったのでしょうが、テレビという舞台に支えられていた人気はちょっとした事件であそこまで急激に落ちるものなんですね。
しかしだからこそ、なんだかんだでマスコミは良識を備えていて、不祥事がバレて叩かれれば叩かれるほど、逆説的ですが良識を担保する場だということになっていくと思います。悪いことをして叩かれるのは、マスコミは良識的でなければならないという規範が働いている証拠でもあるからです。
自分と信者だけの世界を作る有料note的なものが増えると同時に、マスコミの権威も再建されていくと思います。
しかし、マスコミはマスコミでかなり偏った考え方をしているところでもありますから、何かウェブ上で良識を担保できるシステムを作り上げることはできないのだろうかということを、最近はずっと考えています。
「はてなブックマーク」というサービスがあるのですが、一時期のはてブというコミュニティも、ほんのちょっとだけネットの良識的なものを目指していた時期があったのかな、みたいなことを思います。(そういうのはさすがに過去を美化しすぎかもしれませんが。)
僕もかつては「はてなーwwwww」みたいな感じだったのですが、最近では新参の振る舞いに顔をしかめるような、すっかり老害じみた記事ばかり書いてしまいます。フライング・ダッチマン号と同化して魚介類になってしまった人間のように、はてな村の一部に取り込まれてしまう感じがあります。
おそろしいおそろしい。
はてな社もよくわからないのは、互助会やウェイは歓迎してるのに、有料記事システムはなかなか実装しないんですね。まあ中の人達は色々と考えてるんだと思いますが。
そもそもはてなポイントって、クレカどころかコンビニで買えるくらいまで仕組みが整っているのに、はてなスター買うくらいしか使い道ないんですけど。まったくもってわけがわからないよ。
僕は仮に実装されても使わないことをここで約束しますが、noteにユーザー奪われる前に有料記事作れるシステムを導入したほうがいいのではないでしょうか。せっかく上場もしたんだし。
記事を売買するための通貨をはてなスターにするとなおよいと思います。