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 東京電力福島第一原発の事故後、福島県から京都市に自主避難した元会社経営者の40代男性と妻子4人が約1億8千万円の損害賠償を東電に求めた訴訟の判決が18日、京都地裁であった。三木昌之裁判長は、自主避難者の個別事情を重視。男性は事故が原因で不眠症やうつ病になって働けなくなったと認定し、男性と妻に計3046万円を支払うよう東電に命じた。

 東電や国に対する裁判を支援している「原発事故全国弁護団連絡会」によると、避難者らが起こした集団訴訟は福島や東京、大阪など全国21地裁・支部(原告約1万人)で続いているが、自主避難者への賠償が裁判で認められたのは把握する限り初めてという。

 判決は、東電が賠償基準の前提とする国の原子力損害賠償紛争審査会の指針について「類型化が可能な損害項目や範囲を示したものに過ぎない」と指摘。事故と因果関係のある被害は、個別事情に応じて賠償すべきだとの考え方を示した。自主避難者に対しては一律・定額を基本としてきた東電の賠償の枠組みを厳しく問う司法判断となった。

 判決によると、男性は2011年3月の事故当時、福島県内に家族と住み、妻と飲食店運営会社を経営。自宅は避難指示区域の外側にあり、東電がのちに自主避難の賠償対象区域とした。男性は事故数日後に家族と県外へ避難し、ホテルなどを転々とした末に同5月から京都市のマンションへ。そのころから心身の不調が現れた。

 判決は、男性は故郷を離れ、会社の代表も辞めざるを得なくなって強度のストレスを受けたと認定。不眠やうつ病は事故が一因と認め、男性と妻が事故前に得ていた役員報酬額(月平均40万~76万円)の一部を休業損害として償うべきだと判断した。子ども3人については、自主避難区域の賠償基準に沿って東電が一家に払った賠償金計292万円で損害が償われているとして請求を退けた。