家庭で暴力、教会に相談…数年前から
千葉県佐倉市王子台の教会で18日夜に発生した立てこもり事件は、発生から約8時間半後の19日未明、県警捜査1課の特殊部隊「ART」が突入し人質の女性を救出し、小田部(こたべ)大輔容疑者(36)を監禁容疑で現行犯逮捕した。午前4時56分、教会入り口からARTの隊員がなだれ込むと、特殊閃光(せんこう)弾の爆発音が響き、怒号も飛んだ。
県警によると、小田部容疑者は、教会関係者やカウンセリングをしていた知人女性(51)、両親との話し合いが始まった直後に暴れて襲い、1階の礼拝堂で女性を人質に立てこもった。床をたたいたり、刃物を振り回したりし、女性に携帯電話で女性の夫や教会関係者に連絡させた。牧師(47)らが電話で女性を解放するよう説得。19日未明には、交渉担当の捜査員も、電話で呼び掛けながら、踏み込むタイミングを計った。
要求に応じてペットボトルの飲み物を差し入れるため、捜査員が教会内に入ったが、小田部容疑者は受け取らず、捜査員は一旦外へ。その後、ARTが突入し、刃物を手に女性とともにいた小田部容疑者を取り押さえた。小田部容疑者は抵抗はしなかったという。女性は顔や背中に複数の切り傷があったという。
捜査関係者によると、小田部容疑者は両親と別居し、教会の近くで1人暮らしをしていた。数年前からカウンセリングを受け、牧師らに面倒を見てもらっていたという。
小田部容疑者を知る人は「小田部容疑者はすぐにカッとなって暴れる。両親は暴力に耐えられなかったと聞いている。女性は立ち直らせるのを手伝っていたのに」と話した。
現場周辺では、多くの住民らが集まった。近くに住む女性(41)は「サイレンが鳴っていたのは知っていたがテレビで立てこもりと知り、びっくりした」と驚いていた。【信田真由美、北川仁士、川名壮志】