安倍政権:止まらぬ不祥事、失言、問題発言-野党は攻勢
2016/02/19 07:57 JST
(ブルームバーグ):2012年12月の第2次政権発足以降、高い内閣支持率を保ってきた安倍晋三政権だが、ここに来て閣僚や自民党議員の不祥事や失言が相次いでいる。衆院予算委員会での16年度予算案審議が大詰めを迎える中、野党側は攻勢を強めている。
菅義偉官房長官は18日の記者会見で、国会議員の言動について「自らの発言についてはしっかりと説明する責任はみんな持っていると思うので、そういう観点にたって、慎重にそれぞれが発言すべきだろうと思っている」と語った。
安倍首相は18日、自民党の谷垣禎一幹事長と会談し、閣僚や党所属議員の発言に批判が出ていることについて、油断して足をすくわれないようにしなければならないと述べ、党内の引き締めを指示したとNHKが報じた。
1.金銭授受疑惑で甘利明氏が経済再生担当相辞任
週刊文春が元秘書や甘利氏本人が千葉県内の建設会社の総務担当者から現金を受け取っていたとの記事を掲載。甘利氏は1月28日、元秘書への監督責任などを理由に辞任。その後、2月2日以降開かれた衆院本会議を欠席している。
民主党は閣僚辞任後も甘利氏の国会への証人喚問を要求。民主党の安住淳国会対策委員長代理は17日の記者会見で、「甘利さんなり、秘書の話は聞きたい。確認したい」と語った。
2. 電波停止発言高市早苗総務相は8日の衆院予算委員会で、政治的な公平性を定めた放送法違反を繰り返した放送局に電波停止を求める可能性について「将来にわたって、それがあり得ないということは断言できません」と発言した。
18日午後の衆院本会議では、梅村早江子氏(共産)が高市氏の発言は「番組内容を政府が判断して放送事業に介入することなど断じて許されない」と追及。高市氏は自らの発言について「過去の国会答弁を踏襲しており、撤回する必要はない」と答弁した。
3. 除染の長期目標「根拠ない」発言共同通信によると、丸川珠代環境相は7日に長野県松本市で講演し、東京電力福島第一原子力発電所事故を受けた除染に関し、国が追加被ばく線量の長期目標を年間1ミリシーベルト以下に定めたことについて、「何の根拠もなく、時の環境大臣が決めた」などと発言。その後、丸川氏はこの発言を撤回した。
民主党は18日の衆院予算委員会でも、宮崎岳志衆院議員が丸川氏をただした。丸川氏は「言葉が足りなかった」と釈明した。
4. 不倫疑惑で議員辞職自民党の宮崎謙介前衆院議員は妻で同僚の金子恵美衆院議員の出産を機に衆院規則で明確な規定のない育児休暇を取得すると宣言。5日に長男が生まれたが、翌週発売の週刊文春が宮崎氏の不倫疑惑を報道。宮崎氏は12日に議員辞職を表明した。
谷垣幹事長は16日の党役員連絡会で、若手議員をしっかり教育できなかったことは大いに反省しなければならないことだと発言した。
5. 奴隷発言丸山和也参院議員は17日の参院憲法審査会で、米国について「黒人が大統領なんです。黒人の血を引くね、これは奴隷ですよ。はっきり言って」「米の建国、あるいは当初の時代にですね、黒人、奴隷がですね、大統領になるなんて考えもしない」などと発言。日本が米国の51番目の州になれば、「日本州の出身が米国の大統領になる可能性が出てくるようになる」とも語った。
民主党の蓮舫代表代行は18日の記者会見で、丸山氏の発言について「常識を疑ってしまうような、あまりにも見識のない、院の権威をおとしめる発言だ」と批判。社民などと共同で議員辞職勧告決議案を提出したことを明らかにした。
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更新日時: 2016/02/19 07:57 JST