ボディメイクに興味が無い方でも、超回復理論という言葉は聞いたことがあるかと思います。これは、筋肉に強い負荷をかけて破壊し、適切な栄養摂取と適切な休養をとることで回復し、トレーニング前よりも筋肉が増えるというものです。

しかし、実はこの理論に科学的根拠はほとんどありません。以前ボディビルダーの山本義徳氏がこの超回復理論について、「グリコーゲン超回復と混同されて広まったのではないか?」という推論をしていましたし、JPC(日本フィジーク委員会)の杉田茂会長も、自身の経験から「超回復などというものはない。」と断言していました。かく言う私も、この理論が本当かどうか検証してみたことがありますが、おそらく間違いだろうという結論に至りました

どのような検証方法をしたのかと言うと、この超回復理論では禁忌とされている「同じ部位を毎日限界まで追い込み続ける」という方法です。私は上半身に筋肉が付きにくい体質なので、ベンチプレスとラットプルダウンとサイドレイズを毎日10セット、丸1カ月休みなく続けてみました。もし超回復理論が正しければ、筋肉の回復が追い付かず、かえって身体が小さくなるはずですが、結果はその逆。1カ月で驚くほど筋量がアップしたのです。筋量だけではありません。筋力も10%以上伸びましたから、これはもう超回復理論に疑念を持たざるを得ないと言えるでしょう。

ただし、やり方次第でオーバートレーニングになる可能性はあると思っています。このときは上半身だけだったのでこのような結果になりましたが、私の場合、下半身も加えた普通の3~5分割のプログラム(参考「分割法を取り入れる」)を行うと、2週も回せば激しい下痢の症状が現れます。そのまま無視して続けると今度は頻脈の症状も出ました。部位ごとで見れば各部位1週間の休養を挟んでいるにもかかわらず、たったの2週間でひどい体調不良に陥るのです。

これは高強度のトレーニングを行ったときだけなので、単に私が高強度トレーニングに弱い体質だということではないかと思います。ただいずれにせよ、体質に合わないトレーニング法を行った場合、オーバートレーニングに陥るリスクは十分に考えられるといえるでしょう。ちなみにこのオーバートレーニングに関しても前述の杉田会長は否定していますが、NSCA(National Strength & Conditioning Association)の見解では「オーバートレーニングには個人差があり、なりやすい者となりにくい者がいる」とされています。

以上のことから、「同じ部位を毎日鍛えても筋肥大や筋力アップはするが、体質やプログラム内容によってはオーバートレーニングに陥ることがある。」というのが妥当な線だと考えられます。要は自分の身体で試してみないと分からないということですね。結局最後は「人それぞれ」という結論になってしまいましたが、実際トレーニングプログラムの内容なんてボディビルダーでも十人十色です。近道せずにひとつひとつ検証しながら行うのが一番ということなんでしょうね。

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