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cover ■「ニセ医学」に騙されないために

 ホメオパシー、デトックス、千島学説、血液型ダイエット、ワクチン有害論、酵素栄養学、オーリングテストなどなど、「ニセ医学」についての本を書きました。あらかじめニセ医学の手口を知ることで被害防止を。

0016-02-19 林衛さんにお尋ねして、いまのところお返事がもらえていない質問のリ

[]林衛さんにお尋ねして、いまのところお返事がもらえていない質問のリスト(2016年2月19日) 林衛さんにお尋ねして、いまのところお返事がもらえていない質問のリスト(2016年2月19日)を含むブックマーク

  • 福島の小児甲状腺がん検診において「早期発見・治療が効果をあげていると考えられる」*1と仰られましたが、その「効果」は何をアウトカムとして評価していますか?

がん検診の効果を「5年生存率や10年生存率の改善」「診断されたがん全体における早期発見されたがんの割合」で測ってはならないというのは言うまでもありません。一般的には、がん死をアウトカムとして評価します。甲状腺がんの場合は、がん死が生じにくいゆえに多臓器転移や甲状腺全摘術が代理指標の候補となりますが、私の知る限りでは福島の小児甲状腺がん検診が、これらのアウトカムを減らしたという証拠はありません。そこで、林衛さんが何をもって「効果をあげている」とおっしゃったのか、確認したいのです。



  • 大人の甲状腺がん検診が有効でないことについては同意できますか?

私の知る限りにおいて、甲状腺がん検診が有効である(つまり、甲状腺がん検診を受けると、受けない人と比較して、甲状腺がん死が少ない)という証拠はありません。むしろ過剰診断を招くだけというのがコンセンサスです。がん検診の有効性を議論するにあたって、大人の甲状腺がん検診が有効でないことは常識に属することですが、残念ながらこうした基本すらご理解できない人が散見されます。

相手がどれぐらいご理解されているかによってお返事を変える必要があります。たとえば二次方程式の解き方について議論するとして、自然数の四則演算すらご理解していない方を相手にする場合と、一次方程式についてはきちんとご理解している相手とでは、対応が異なります。まるで林衛さんががん検診の基本すらご理解していないのではないかという疑惑を投げかけているようで誠に申し訳ありませんが、大人の甲状腺がん検診の有効性について、林衛さんのお考えを明確にしていただければありがたいです。



  • 「過剰診断とはいえない有効性が示されるようになったデータ」*2についておたずねしたところ、「甲状腺がんの治療成績の向上についてのデータも紹介できるでしょう。そのデータでは,甲状腺がんの検診によって死亡率が低下しているとのことです」*3とのお返事をいただきました。そのデータが論文として第三者に検証可能な形で発表されているのか、あるいは今後発表する予定があるのか、発表する予定がないとしてその理由は何か、教えていただければ幸いです。

大人の甲状腺がん検診の有効性についてご質問したところ、明確なお返事はなく、代わりに「最近の研究では,過剰診断とはいえない有効性が示されるようになったデータもあると聞いています」と仰られました。

私の知る限りでは、甲状腺がん検診の有効性を示したデータが出たとしたら世界初です。しかも、これまで有効性が証明されたがん検診であっても一定の過剰診断が生じることは避けられません。経過が長く、普通の検診では多くの過剰診断が見つかる甲状腺がんの検診において「過剰診断とはいえない有効性」を示すデータは、これまでのがん検診の常識を覆す大発見です。まるで林衛さんが存在しないデータをさもあるかのようにみせかけたという疑惑を投げかけているようで誠に申し訳ありませんが、ぜひとも、そのデータを検証させてください。

がん検診についての議論について不慣れな読者のために申し添えますと、甲状腺がん検診を行うと、検診の有効性がなくても、見かけ上の甲状腺がんの治療成績は向上しますし、5年生存率・10年生存率は改善します。そのようなデータであれば存じています。

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