2016年2月19日01時17分
東日本大震災での津波被害者の遺族が「適切に避難させなかった」として自治体や職場に損害賠償を求めた二つの訴訟で、最高裁はいずれも遺族側の上告を退ける決定を出した。17日付。「津波は予測不可能だった」として、遺族の請求を棄却した一、二審判決が確定した。津波被害者が起こした訴訟が、最高裁で確定するのは初めて。
決定があったのは、七十七銀行女川支店(宮城県女川町)で犠牲になった従業員3人の遺族が銀行に約2億3千万円の賠償を求めた訴訟と、宮城県山元町立東保育所で亡くなった園児の遺族が、町に約3152万円の賠償を求めた訴訟。
同銀行を訴えた訴訟では、昨年4月に二審・仙台高裁が「銀行側は、支店の屋根を越えるほどの津波を予見できなかった」と判断。町立保育所を訴えた訴訟でも、同高裁が昨年3月の二審判決で、「海岸から1・5キロの保育所に津波が到達するとは予見できなかった」と判断した。
震災犠牲者の遺族が勤務先や自治体などの管理者の責任を問う訴訟は、各地で起きている。園児5人が犠牲になった私立日和幼稚園(宮城県石巻市)の訴訟では、一審・仙台地裁が「巨大津波の危険性は十分に予見できた」として園側の過失を認め、二審で和解が成立した。児童ら84人が犠牲になった市立大川小学校の被害で2014年3月に遺族が県や市を提訴するなど、複数の訴訟が係争中だ。
おすすめコンテンツ
※Twitterのサービスが混み合っている時など、ツイートが表示されない場合もあります。
朝日新聞社会部
PR比べてお得!