交流・協力の全事業ストップ 南北関係が「氷河期」に

【ソウル聯合ニュース】北朝鮮の4回目核実験と長距離ミサイル発射により、南北間の交流・協力事業が完全に中断し、南北関係は完全に冷え込もうとしている。

 韓国政府は先月初め、北朝鮮の4回目核実験を受け、民間の交流と北朝鮮支援を一時保留とした。政府当局者は「北の誤った行為で厳重な状況が発生したことを示すための措置だ」と説明していた。

 それでも北朝鮮は1カ月後、長距離ミサイル発射という挑発行為にまたも踏み切り、これに対し韓国政府は独自制裁の強化に乗り出した。政府は10日、南北関係の「最後の砦(とりで)」と認識されてきた南北協力事業の開城工業団地の全面的な操業中断を決定した。11日から開城工業団地の入居企業と協力会社関係者の撤収が始まるなど、工業団地は永久閉鎖への手順を踏む見通しだ。

 韓国の専門家らは、工業団地の閉鎖は南北経済協力の全面中断を意味するとみている。東国大北朝鮮学科の金榕炫(キム・ヨンヒョン)教授は「南北経済協力という部分は完全に消滅し、ハサン―羅津プロジェクトなども中断する可能性が高い」との見方を示した。

 ハサン―羅津プロジェクトはロシア極東沿海地方ハサンと北朝鮮・羅津間を結ぶ物流協力事業で、韓国企業も参加している。韓国政府は昨年末に事業の妥当性を検証するための3回目試験輸送を終え、本契約締結に関する交渉を進めていたが、事業の推進を無期限で延期した。

 社会・文化交流でも長期にわたり進められてきた事業が中断を余儀なくされている。

 高麗王朝(918~1392年)の王宮遺跡である満月台(北朝鮮・開城)の発掘調査に2007年から取り組んできた南北歴史学者協議会は、今月から8回目の発掘を実施する予定だったが、延期された。再開の見通しも立っていない。南北間の言語の同質性回復を目指し2006年に始まったキョレマル(民族語)大辞典の共同編さん事業なども中断に追い込まれそうだ。

 「南北3大通路(民生・文化・環境)」の開拓として推進されてきた南北の交流・協力事業が全面中断されることになる。これは南北対話の完全な断絶を意味するもので、南北関係は長い氷河期に入るとみられる。

 こうした韓国の措置について、現政権の北朝鮮政策の基調が、「挑発に対する断固たる対応」と「対話と協力」を並行する「朝鮮半島信頼プロセス」から外れるものだとする解釈も出ている。政府は北朝鮮の4回目核実験の後、朝鮮半島信頼プロセスの基調を維持しながらも、「対話と協力」に置かれていた重心を「断固たる対応」に移していた。その状況で開城工業団地の閉鎖と南北交流事業の全面中断というカードを切ったのは、政府がもう一歩踏み出し、圧力と対話を並行するスタンスを実質的に放棄したものではないかという見方だ。

 開城工業団地の操業が再開されない限り、中断した南北交流事業の再開も容易ではない。政府は「北が核とミサイル開発に対する懸念を解消して初めて、工業団地の操業再開が可能になる」とするが、北朝鮮がこれを受け入れる可能性は高いといえない。

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