【ソウル聯合ニュース】北朝鮮が7日に発射した事実上の長距離ミサイルの発射費用はおよそいくらか。正確な費用を算出するのは難しいが、一般的に約3億ドル(約339億円)と推計されている。南北経済協力事業の開城工業団地で得られる収益の数年分が発射費用として支出されたことになる。
韓国政府は10日、団地の稼動を全面的に中断すると発表した上で、団地を通じ北朝鮮に入った資金が核や長距離ミサイル技術の開発に投入されたとみられると明らかにした。
団地を通じ北朝鮮が得る収益は北朝鮮労働者の人件費として支払われる年間1億ドルが事実上、全て。このうち北朝鮮当局の取り分は約3割に当たる3000万ドルとされる。
しかし、国内外の専門家らは事実上、ほぼ全額が当局の懐に入ると指摘してきた。
北朝鮮労働者1人当たりの月給は残業などの手当てを含め約150ドルだが、当局の搾取により実際は月2ドル程度だとされる。
韓国情報当局は2012年に北朝鮮が発射した「銀河3号」には、開発費用として3億ドルが投入されたと推計した。
「銀河3号」は今回北朝鮮が発射した長距離ミサイルと同一の機種とみられる。
故金正日(キム・ジョンイル)総書記は2000年8月に訪朝した韓国メディアとの面談で、「ロケット1基に2億~3億ドルかかる」と発言している。
研究施設や発射場建設、人工衛星開発などにかかる費用を除いても、北朝鮮が長距離ミサイル1基を製作するのに団地で得た収益の2~3年分がつぎ込まれたことになる。
ただ、公に市場経済を導入していない北朝鮮の現実を踏まえると、実際に北朝鮮が負担する費用はこれよりも少ないとする見方もある。
13年に日本メディアが入手した朝鮮労働党幹部の内部講演資料では、「(ロケットを)1回打ち上げるのに3000万ドル必要だ」と言及されていた。
北朝鮮の招きで12年の「銀河3号」発射を見学したロシアの専門家は、「(ロケットと衛星製作に)およそ5000万~6000万ドルかかっているだろう」と推計した。