<訂正>18日3:30に掲載した「就活100日戦争は始まっている」の記事中、「ゴールドマン・サックスがこの時点で内定を出している」とあるのは誤りでしたので、削除します。(2016/2/18 15:55)
今春入社の新卒採用活動のピークが過ぎたのもつかの間。春の足音に合わせるように動き出した2017年卒の学生の動向をキャッチするため、日経電子版「就活探偵団」の連載も再開します。今シーズン最初の質問は「もう内定が取れている人はいるんですか?」
速足だが調子がいいウサギがサボっているうちに、遅速でも地道にコツコツ進むカメが先にゴールにたどり着く。これは寓話(ぐうわ)の話だが、17年卒の新卒採用活動の世界では事情はちょっと違う。有能なカメはすでに猛烈なスピードで走り始めているのだ。
■「すべての選考をやめて」
ある有名私大に通う男子学生はすでに内定を4つ持っている。
1つは就活人気ランキングで上位常連の大手企業。今月、内定承諾書をもらった。中身を読んでみると内定を出す条件に「全ての選考をやめること」と書かれている。男子学生は会社に「ハンコを押すのは少し待ってほしい」と伝えた。すると「迷っているなら、待つ」と応じてくれた。ただ、聞くところによると、ほかの内定者は全員ハンコを押したようだ。
内定を4つ獲得したという男子学生の手帳はスケジュールでぎっしり
この男子学生はこちらも著名な大手IT(情報技術)企業からも内定を獲得した。しかも内定者の中でも、早い段階に内定が出る「早期内定」をもらっている。これは同社の目玉となる新規事業にすぐ関わらせてくれる、優秀な学生に与えられるお墨付きの「内定」だという。このほか有名企業を含む2社からも内定をもぎ取った。
早くも安堵の表情を浮かべる男子学生。茶髪にパーマ。就活には私服で望んだという。誰にでも好印象を与える黒や紺のスーツでビシっと決めるのが就活生のスタンダード。一見、内定にはほど遠いようにも感じるが、一体どうやって「勝ち組」になれたのか。
動き出したのは昨夏。どちらかと言えば一発勝負は苦手というタイプだという。「じっくりと(人事担当者に)見てもらった方が自分の良さが伝わるはず」との思いから、本当に行きたいと思える会社を選んで6社ほどのインターンに参加した。
インターンでは全てで「リーダー」をやった。全体の状況をみて、メンバーに仕事をバランスよく割り振った。人事担当者からは「芯がある」「物事をきちんと考えて話している」と評価された。「結局、就活は見た目なんて関係ないんですよ」。学生からは余裕の笑みがこぼれる。
■「内定断るのが面倒」
慶応大3年の男子学生は内定こそ獲得してはいないが、ITベンチャーを中心に、すでに6社ほどで最終面接の直前まで進んでいる。だが、そこで意図的に止めている。それにはワケがある。確かに最終面接を受け、うまくいけば内定が出る可能性が高い。しかし「内定をもらった後に断るのが面倒」。だから各社には「最終的な志望動機が固まっていないので、最終面接を受けるのは待ってほしい」とお茶を濁して、待ってもらっているのだ。
「大手企業の採用活動が本格化する前に、優秀な学生を確保しておきたい」(ITベンチャー)。「就活探偵団」が、各企業や学生に聞き取り調査をしたところ、外資系企業やヤフーなどの大手IT企業、ベンチャー企業がこの時点で、すでに内定を出していることがわかった。
丸紅、榊原定征、内定、インターン、就活、就活探偵団、タイトー、川澄化学工業、電通
今春入社の新卒採用活動のピークが過ぎたのもつかの間。春の足音に合わせるように動き出した2017年卒の学生の動向をキャッチするため、日経電子版「就活探偵団」の連載も再開します。今シーズン最初の質問は「…続き (2/18)