ガルバリウム鋼板・屋根材の選択時の基本知識、情報
ガルバリウム鋼板屋根材を比較する決め手;
瓦葺きから、軽量なガルバリウム鋼板へ葺き替えを考えている方、コロニアル
カラーベストスレート材からガルバリウム鋼板へ葺き替えを考えている方の為に
ガルバリウム鋼板を選ぶ際に知っておくべき幾つかの情報、お知らせを書きたい
と思います。
カタログの記載されていること、性能、価格
- ガルバリウム鋼板屋根材本体価格の相場
- ガルバリウム鋼板のカタログの価格は、何の価格か?
- ガルバリウム屋根材の保証とその意味、種類、耐用年数
- ガルバリウム鋼板自体の製造は、大手4鉄鋼メーカー
- ガルバリウム屋根材;縦葺タイプと横葺タイプ、瓦調ガルバリウム鋼板
- ガルバリウム鋼板の厚さについて
- ガルバリウム鋼板の表面処理(塗装など)
- 断熱材のこと
1:ガルバリウム鋼板屋根材本体価格の相場
2014年、見積・価格表示の調査をしました。提携の屋根屋さんの見積、競合他社
屋根屋のサイトの価格表示から、ガルバリウム鋼板、本体の施工費用(材料と施
工費用を集計しその統計をとりました。 施工価格は材料と工事費別々のものと
一緒に表示されているものとがありましたが、工事費込での価格にしました。
サンプル数は多くないですが、ある価格帯にデータが集まっている様子がはっき
りと現れています。 (¥8,500以上のものは除いてあります)
ガルバリウム鋼板への本体の葺き替え見積価格を、提携業者、競合した場合の他
社見積(お客様から頂いた、または口頭で教えてもらった金額を含みます)屋根
屋サイトの表示価格を2014年中に全サンプル数を価格帯ごとにグラフ化したもの
が上のグラフになります。
棒グラフの上の数字は、サンプル数、横軸は平米あたりの施工価格で¥4,000~
¥8,500までの価格を 500円刻みにその価格帯にプロットしました。
(※本体とは、屋根の本体で、平部とも言います。)
他の部品;棟、けらば、軒先、雨樋、足場などの価格は除外しました。
これを見るとガルバリウム鋼板の施工価格(材料代+工事費は平米あたりほぼ
¥5,000から¥6,500の間に納まります。ガルバリウム鋼板の種類は、区別して
いませんが、断熱材がないもの、断熱材付きのもの、塗装がフッ素など耐用年数
が長いものなどの順に高くなっています。
当然ながら同じメーカー、同じ製品でも屋根屋(他社を含めて)によって違いま
す。また、ガルバリウム鋼板・製品は問わず、¥8,500以上の見積は除外しまし
た。¥8,500/平米以上の高い価格で見積られたものは工務店、建築会社、総合
リフォーム会社のものでした。
2:ガルバリウム鋼板のカタログの価格は、何の価格か?
ガルバリウム鋼板のカタログを見ると価格の記載されているものもあります。
しかし、その価格は設計価格と書いてあるものもあり何の価格なのか?一般消費
者には、分かり難いものとなっています。これは材料の価格ではなく、材料と施
工費用の費用なのですが、何故ガルバリウム鋼板のメーカーが、工事もしないの
に施工価格を含ませているのか?奇妙です。また設計価格と言いながら工事費は
含まれていませんと言ったり、それぞれです。表示が良く分からないものになっ
ています。
設計価格、または、㎡価格とあるのは、家を設計する見積をする際の費用という
ことになるのでしょうか? 屋根材のメーカーはその施工価格を見積って価格を
表示しています。 この価格は本体のみ工事費用で、その他に軒先部分、棟部分
けらば部分などいろいろな部品の施工も費用でこれは含まれていません。本体の
みの材料費と工事費になります。
例:
ニチハ/横暖ルーフシリーズ ¥7,500 ~¥6,670/㎡、本体
アイジー工業/ガルテクト ¥5,100 ~¥6,000/㎡、本体
福泉工業/MFシルキー;¥6,000/㎡、efルーフ;¥5,800/㎡
本体価格のないカタログも多数あります。
3:ガルバリウム屋根材の保証とその意味、種類、耐用年数
ガルバリウム鋼板屋根材メーカーは保証を付けています。しかし、その保証内容
は、ばらばらで統一されていません。その内容を良く読む必要がありそうです。
何の保証なのか? その内容を理解してください。
・赤錆保証:
実例として保証書の文言にはこうあります。「赤錆10年保証;赤錆の発生面積が
全施工面積の5%以下であること」を保証します。 ・・・つまり10年経って屋
根の全面積の5%以内の場合は保証しませんと言う意味です。具体的に 100㎡の
屋根で5%は5㎡で、この広さ以内の赤錆が10年以内に発生しても何も保証され
ないということです。
しかも、屋根屋が切ったり削ったり加工した箇所はメーカー保証になりません
・塗膜保証:
実例として保証書の文言にはこうあります。塗膜保証10年:「塗膜のヒビ、割れ
剥がれ、膨れ上がりが著しく目立たないこと」を10年保証すると言うものです。
塗装の変色、色褪せなどは保証しません。また、「著しく」とは、誰が判断する
のか? 多分メーカーの査定員が来て調査するのだと思います。 定量的、数字
的での規定がありませんので、公平に判断できるのか?疑問が残ります。
・また保証が適用されたら、メーカーは何をしてくれるのか?
この点も要確認です。それは、不具合箇所の「その部分だけの」補修、代替部品
の供給(但し工事は含まれず)、または修繕もすることもあり得ます。その部分
の査定額をお金で支払う。基本的には材料保証というもので、メーカーは、材料
のお金しか貰っていませんから、工事は、屋根屋さんどうにかしてね! です。
その屋根屋が責任をとるかどうかは別問題。屋根屋に瑕疵がないときには、屋根
屋に責任はありません。よって施工費用は、お客様持ちになってしまうこともあ
り得るのです。いえ、この可能性の方が大きいです。基本的に施工者に責任がな
いからです。
・メーカー保証と施工保証;
屋根材の製造に関わる瑕疵はメーカーの責任ですが、切ったり、加工した部分は
屋根屋の責任です。ですので、材料の保証と施工の保証は実は別々の保証が必要
です。屋根屋の施工保証は、概ね10年程度ですが、メーカー保証20年があった屋
根材で、施工保証は10年とすると、11年目で、材料の不具合よって雨漏りが発生
しても、材料は無料で支給されても、屋根屋に施工費をとられるかもしれないの
です。屋根屋には瑕疵がありませんので、理屈的にはこうなっています。
また、この不具合が9年目に発生し、材料、施工ともに瑕疵があった場合は材料
の無償供給がされ、施工も保証期間内であることから、費用なしで修理、補修が
完了します。施工の不具合はメーカーは保証してくれません。施工会社の責任に
なり、これを保証するのは、施工保証になります。
4:ガルバリウム鋼板自体の性能
ガルバリウム鋼板は、1972年に米国のベツレヘムスチール社が開発し、日本では
旧大同鋼板株式会社(現日鉄住金鋼板)が、1982年に日本で生産を始めました。
大手鋼板会社は1996年ごろから製造を本格化した、比較的新しい屋根材です。
2005年の住宅の屋根材のシェアーは粘土瓦が50%以上を占めており金属屋根材
は17.3%ですが、近年急速にその市場を拡大しつつあります。 特にガルバリ
ウム鋼板のリフォーム市場では、スレート(コロニアル、カラーベスト)から
の葺き替えでは殆がガルバリウム鋼板での葺き替え工事になっています。
また、ガルバリウム鋼板自体は新日轍住金、JFEスチール、日新製鋼、淀川製
鋼所のメーカー4社が製造しています。ガルバリウム鋼板の「屋根材メーカー」
は、鋼板をこれらのメーカーから原材料(ガルバリウム鋼板)として仕入れ屋根
材に加工、塗装、表面処理をして出荷しています。
ガルバリウム鋼板の製造工程は溶融亜鉛メッキの工程(トタンとほぼ同じ)で製
造されることから、各社の製造設備、ノウハウはほぼ同じで大きな性能差はない
と思っています。
屋根材メーカーが加工、処理をしてその耐用年数、デザインなどの差別化を図っ
ていますので、ガルバリウム屋根材を選ぶ際は、屋根材メーカーの資料を良く吟
味するべきと思います。
屋根材としての性能で最も重要なのが、寿命、耐用年数です。家・屋根の外観を
綺麗に見せることも屋根材の重要な機能ですが、家を雨風から守る機能から考え
ると、その耐用年数が最も重要な項目になります。それについては、先日同じブ
ログでお知らせしているように(ガルバリウム鋼板の耐用年数)耐用年数は25
年以上です。
外観上の耐用年数、見栄えの劣化については主に塗装や表面の劣化を気にします
のでガルバリウム鋼板自体の性能と言うよりは塗装の寿命を考えねばなりません
5:縦葺タイプと横葺タイプ
・ガルバリウム鋼板の屋根材には、施工のやり方で大きく2つに分かれます。
横葺タイプのガルバリウム鋼板屋根材;
一番製品が多く市場を占めている屋根材です。横方向に施工していくのでこの名
前です。材料は横に長く(910mm, 1820mm, 2730mm長のものなど)幅は狭い150mmとか200mm,300mm 程度のものが多く販売されています。
縦葺タイプのガルバリウム鋼板屋根材;
分かりやすいのは、トタンの屋根です。 正確には、屋根材はトタン(溶融亜鉛
メッキの金属屋根材料)を瓦棒形式に施工したやねですが、これは縦に施工して
いきますので、縦葺タイプの屋根と言います。縦ハゼも縦葺です。
6:ガルバリウム鋼板の厚さ
大手鉄鋼メーカーが製造する住宅屋根用鋼材の厚さは,0.35mm ~0.5mm程度で
す横葺タイプのものは、0.35mmが主流となっていて、瓦調のガルバリウム鋼板
では強度を出すために0.4mm、0.5mmのものがある程度です。
超がつくほど軽い材料にするために極限まで薄くして(ガルバリウム屋根材の最
大の利点です)価格的にも最も適切な厚さの結論が、0.35mmなのだと考えま
す。 非常に薄い鋼板なので、加工に工夫を凝らして強度を持たせていたり、断
熱材をアルミのシートで包んだりなどして、強度を上げているメーカーもあり
ます。
7:ガルバリウム鋼板の表面処理(塗装など)
他社との差別化をする上で、一番頑張るのがこの仕様と思います。耐用年数に関
わる重要な要素であり、外観にも大きく影響します。屋根材メーカーの腕の見せ
どころと言ってよい項目です。
メーカー各社のガルバリウム鋼板屋根材の塗装は;
・JFE:JFEカラー鋼板; ポリエステル樹脂塗装
・日鉄住金:ガラス繊維配合の強化塗膜(特許)
・日新製鋼/月星GLカラー:ポリエステル樹脂とエポキシ樹脂系塗料
・アイジー工業:ポリエステル樹脂塗装
・福泉工業: ポリエステル樹脂塗装
・稲垣垣商事: ポリエステル樹脂塗装
塗装にフッ素系樹脂塗装を施すと、長期間の耐用年数が期待でき
実際に塗膜保証が20年になったりしています。
遮熱塗料も盛んに使用され、フッ素に遮熱機能のある樹脂成分を
混合して、遮熱性能を持たせている製品もある。
面白い表面処理;ちぢみ塗装;例福泉工業の製品には
ちじみ塗膜を使用。ちじみ塗膜とは、塗膜に僅かなちぢみをいれることで、
太陽光線を散乱し、塗膜に与えるダメージを小さくする狙いがある。
8:断熱材料のこと
ガルバリウム鋼板は、1mm以下の薄い材料なので、瓦、スレート、コロニアル、
カラーベスト等を撤去して、施工するときは断熱材が必要かどうか、別の断熱
システムを考えるべきか考慮するべきです。
コロニアル、カラーベスト、スレートの場合の葺き替えは、間違いなく重ね葺き
工法を採るべきで、撤去費用、廃材処理費用が不要になるだけではなく、残した
屋根材が断熱の役目を果たすので、今より環境が悪くなることは殆ありません。
スレートの上にガルバリウム鋼板を被せて昔より夏暑くなったとか、冬がより寒
くなったと言うクレームは聞いたことがありません。
スレートの葺き替え工事には、是非検討して頂きたい方法です。
問題は、瓦のガルバリウム鋼板への葺き替えで、瓦は断熱材ではないのですが粘
土を焼いたもので厚さが10mm以上あり、屋根から夏の太陽エネルギーを大分
和らげてくれるのは、確かなようです。瓦を撤去する場合は断熱材が必要で、そ
の材料、施工のやり方には、いろいろな方法があります。
●屋根材に断熱材付のものを施工する
●断熱シートを防水材の下に施工する
●遮熱塗料を使ったガルバリウム鋼板を使う
●もし小屋裏;屋根裏があればそこに断熱材を施工する
●通気工法を採用するなどの方法があります。
断熱の材料、施工方法は;
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