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【経済裏読み】
豪腕! テリー・ゴウ劇場第1幕…急かす鴻海、なだめるシャープの攻防戦 ビミョーな発言変化に波乱の予感
ロングラン会談
トップ会談も鴻海のペースで進んだ。郭会長が契約の調印を求めたのに対し、シャープの高橋社長ら経営陣は「日本では取締役会の決議をしなければ法律的にも契約できない」と理解を求めた。急かす豪腕と、事情に理解を求めるシャープの攻防で、会談は8時間に及んだ。
郭会長がサインにこだわり、結局、シャープは(1)最終的な契約の条件について適時かつ誠実に協議を継続する(2)鴻海の提案の有効期限は29日まで延長する-とした合意書を準備。郭会長と高橋社長の両トップの署名を入れた。
合意書は、要するにシャープに7千億円規模を拠出するとした鴻海の提案を29日まで適時、誠実に協議という内容だ。
それを会談終了後の午後5時半すぎ、郭会長は報道陣に対し「優先交渉ができる権利にサインした」と語り、両トップが署名した合意書を報道陣のカメラにさらした。さらに、「本当は正式な契約を交わしたかったが、多くの法的なプロセスを踏まないといけないことがあり、きょうで完成することはできなかった。ただ、ハードルは90%乗り越えた」と続けた。
慌てたのはシャープだ。確認を求める報道陣に「適時開示事項だ」として回答を控え、午後7時前に「優先交渉権を与えた事実はない」として合意書の内容を説明するコメントを公表した。
シャープ関係者は「ああいう言い方は海外の相手に限らずビジネスの交渉ではある」とする一方、油断ならない相手として警戒する雰囲気を強めていた。
トラストミー
テリー・ゴウ劇場はこれだけで終らなかった。
5日夜、帰国直前の関西国際空港で再び報道陣の取材に答えたのだ。