原油安の影響で、ガソリンや軽油などの価格低下が続いている。全国平均に比べて高値の京都市内でもレギュラーガソリン1リットル当たり100円を割り込むガソリンスタンド(GS)が出始めた。家計をはじめ製造業や交通、農業など幅広い産業に恩恵が広がる一方、石油販売業者からは激化する安売り競争を嘆く声が上がる。
京都市北区大将軍西町のセルフ式GSは今月初旬、3万円分のプリペイドカード使用時のレギュラーガソリン価格を1リットル当たり103円から98円に値下げした。100円を割り込むのは15年ぶりという。現在は99円で、店にはマイカーの給油や灯油を購入する顧客が後を絶たない。
「マイカー通勤なのでとても助かる。買い物やレジャーでも遠くまで出掛けるようになった」。軽乗用車に給油した京都市左京区の会社員、高木学さん(41)は顔をほころばせた。18リットルの灯油を900円で購入した上京区の女性(67)は「1年前は今の2倍近い価格だった。これほど安いと灯油ストーブをつい使いすぎてしまう」と苦笑する。
資源エネルギー庁の調査結果によると、15日時点のレギュラーガソリン1リットル当たりの平均小売価格は、京都府が116円80銭、滋賀県が111円。
燃料費や材料費の負担縮小で、地元の幅広い業界で収益が好転している。タクシーのエムケイ(京都市南区)は2015年4~12月期で液化石油ガスを含む燃料費の支出が前年同期比で26%減り、16年3月期は大幅増益を見込む。燃料費の減少分はドライバーの成果給に反映する仕組みで、「社員のやる気につながる」(経営企画部)と喜ぶ。彌榮自動車(下京区)も「人件費が上昇する中で助かる」(総務部)と原油安を歓迎する。
京都市バスを運行する市交通局によると、競争入札で調達している軽油の価格が本年度は平均で1リットル約84円となる見通しで、当初予算で見込んだ124円60銭を大幅に下回った。予算単価より1円安ければ1千万円の剰余金が出るといい、本年度は約4億円も余る計算となる。
恩恵は農業にも及ぶ。メロンやトマトを温室栽培している上岸本温室組合(東近江市)では、暖房に使う重油の単価が下落した上、暖冬の効果で消費量も減った。山本惣太郎組合長(68)は「燃料費は昨季から3割以上も減った。原油安が続いてほしい」と願う。
一方、GSなどの小売店は激しい価格競争にさらされている。京都、滋賀でGS23店を経営する上原成商事の土佐益久取締役管理本部長は「石油元売り各社のシェア争いもあり、原油価格が下げ止まっても卸値が下がる場合もある」と話す。GSが集まる幹線道沿いなどでは安売り競争が激化しているため「1店が値下げすると引きずられる。原油安なのに利益は確保しづらい状況だ」と漏らす。
原油相場の先行きが混とんとする中、石油小売各社は難しい価格設定に悩まされている。
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