正直、私は社会主義云々のイデオロギー論よりも、
もっと目の前にあるアメリカの不安定化の危機の方を危惧する。
その危機の兆候は、以前の記事の中のグラフによく現れている。
このグラフの中で、自身を「とても保守的」「とてもリベラル」と考える
共和党員・民主党員は、ともに13%ずつ増加している。
合計すると26%、4分の1人の思想が急進化していることになる。
私はこれは、大変に危険な兆候だと思う。
思想の急進化は、社会を危機に貶めることも多い。
アメリカは歴史が浅い若い国のせいか、極端から極端に走りやすい。
このような思想の急進化は、物事を大きく進める変革の契機になることもあるが、
とかく社会を不安定化させる。
しかもこのような思想の急進化は、一朝一夕にできたものではない。
21世紀に入ってアメリカは、ブッシュJr.大統領を2期も当選させ、
愚かなイラク戦争に突き進んだかと思えば、
黒人初の大統領として、極度にリベラルなオバマを選んだ。
オバマの後継者として、ヒラリーが民主党候補にすんなり決まるかと思えば、
オバマより、もっと急進的なサンダーズが、人気を得た。
更にもう一つ遡れば、クリントン政権時代の金融自由化の波をうけて、
豊かになったウォール街の住民達を、現在のアメリカ市民は憎んでいるように見える。
現代のアメリカ人は、積もり積もった不満を抱えて、
すべての既成権力 (establishment) を、ぶち壊したいと願っているようにも見える。
その気持ちは、本当によく理解できるし、心から共感するのだが、
それがアメリカの不安定化、
ひいては世界全般の情勢の不安定化を招くことになるのなら、正直不安を禁じ得ない。
私は政治的にはサンダーズの共感者だが、彼の公約は国内問題に集中していて、
外交政策の不明瞭には、少々おぼつかなく思っている。
ブッシュJr.大統領が推し進め、オバマ大統領が手を離した中東情勢なども、
現在は収拾不可能な状況までに陥っている。
私はガンジーの「善きことはカタツムリの速さで進む」という言葉が好きだ。
19世紀のフランス革命と20世紀の共産革命の血で血を洗うような悲劇を超えて、
非暴力の漸進主義を学んだのが、歴史の大きな教訓だと思う。
まあ特にアメリカの場合は、非暴力運動の指導者であるキング牧師が、
「黒人は何故待てないのか」という本を出版したりしてるし、
どこまでが漸進主義と呼べて、どこまでが現実とただ妥協しているだけかの線引きは
とても難しい問題だと思うけど。。。
ひとまず現代世界の超大国であるアメリカ社会の安定を祈りたい。
あと、地味なようだけど、前みたいに議会で揉めて、
政府機関のすべて閉鎖とかは、本当に止めてほしい。
私個人でも大学の授業にも影響が出て、大変だったし、
政府機関の閉鎖で一番困ったのは、生活保護等の貧困層だと思う。
社会が不安定化すると、一番しわ寄せがくるのが社会的弱者だ。
彼らを守るためにも、平和と安定は欠かせないとも思う。
でもまあ共和党が議会を牛耳っている現状は変わらないだろうから、
民主党から大統領が出る限り、揉めるんだろうなぁ〜
今は経済も不安定化してるし、そこに政治の混迷が加わると、
景気は益々悪くなるだろう。
そうなると、真っ先に仕事を失うのは貧困層だし、なかなか色々難しい。。。
読んでくださって、ありがとうございました。
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