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市村正親さん『ミス・サイゴン』最後の舞台へ2月18日 7時06分
ミュージカル界を代表する俳優の市村正親さん(67)が代表作のミュージカル『ミス・サイゴン』のエンジニア役をことし秋の公演で最後にすることを決めました。
25年前の日本初演からこの役で舞台に立ち続け、“ミスター・サイゴン”とまで呼ばれる当たり役。最後の公演を集大成にしたいと意気込んでいます。
25年前の日本初演からこの役で舞台に立ち続け、“ミスター・サイゴン”とまで呼ばれる当たり役。最後の公演を集大成にしたいと意気込んでいます。
作品との出会い 俳優人生の転機に
ミュージカル『ミス・サイゴン』は、ベトナム戦争によって引き裂かれた悲劇の愛を描いた大作で、1989年にロンドンのウエストエンドで初演されました。
日本では3年後の1992年に初めて上演。実物大のヘリコプターを舞台に入れた大がかりなセットや、プロアマ問わない長期間のオーディションによるキャスト選考、それに1年半というロングラン公演が大きな話題となりました。これまでの上演回数は1368回にも上ります。
物語は、アメリカ兵・クリスとの間にできた子どもを命がけで守ろうとするベトナム人女性・キムの過酷な人生を描いています。日本初演でキムを演じたのは、当時アイドル歌手だった本田美奈子さん。市村さんは「エンジニア」という男を演じてきました。
初演当時、劇団四季の看板俳優からフリーになったばかりだった市村さんは、物語で重要な役割を果たすこの役との出会いが、その後の俳優人生を変えたと言います。
「当時は、頭に“劇団四季の市村”と付くくらい四季のイメージが強くて、その色を打ち消したくて、ぎらぎらとした気持ちで稽古場に向かっていました。1年半という公演は長かったですね。週に10回の公演を乗り切るのに、休演日には点滴をしたりマッサージに行ったり、かぜをひかないように気を遣いました。でも、『ミス・サイゴン』は、それまでの自分の劇団四季の色を打ち消すだけのパワーのある作品でした。僕にとってこの役との出会いが、俳優人生の大きな転機になりましたね」
市村さんは、この役で文化庁芸術祭賞を受賞するなど高い評価を受け、「ミスター・サイゴン」とまで呼ばれるように。その後、さらに活躍の場を広げていきました。
日本では3年後の1992年に初めて上演。実物大のヘリコプターを舞台に入れた大がかりなセットや、プロアマ問わない長期間のオーディションによるキャスト選考、それに1年半というロングラン公演が大きな話題となりました。これまでの上演回数は1368回にも上ります。
物語は、アメリカ兵・クリスとの間にできた子どもを命がけで守ろうとするベトナム人女性・キムの過酷な人生を描いています。日本初演でキムを演じたのは、当時アイドル歌手だった本田美奈子さん。市村さんは「エンジニア」という男を演じてきました。
初演当時、劇団四季の看板俳優からフリーになったばかりだった市村さんは、物語で重要な役割を果たすこの役との出会いが、その後の俳優人生を変えたと言います。
「当時は、頭に“劇団四季の市村”と付くくらい四季のイメージが強くて、その色を打ち消したくて、ぎらぎらとした気持ちで稽古場に向かっていました。1年半という公演は長かったですね。週に10回の公演を乗り切るのに、休演日には点滴をしたりマッサージに行ったり、かぜをひかないように気を遣いました。でも、『ミス・サイゴン』は、それまでの自分の劇団四季の色を打ち消すだけのパワーのある作品でした。僕にとってこの役との出会いが、俳優人生の大きな転機になりましたね」
市村さんは、この役で文化庁芸術祭賞を受賞するなど高い評価を受け、「ミスター・サイゴン」とまで呼ばれるように。その後、さらに活躍の場を広げていきました。
胃がんで舞台降板からの思い
~やるぜ俺! 大成功! 絶対つかむぞ おお アメリカンドリーム~
(「アメリカン・ドリーム」より)
市村さん演じるエンジニアはキムが働くキャバレーの経営者。フランス系ベトナム人という複雑な生い立ちで、戦争の混乱のなか、したたかに生き抜こうとします。そんなエンジニアの生きざまを歌った「アメリカン・ドリーム」は、この作品の中で最も人気のあるナンバーの1つです。
「エンジニアは何があろうと生き延びてやるという生命力の強さがあります。そのためだったら何でも利用する。頭下げるのだって平気。それと同時に、そこはかとなくフランス人とベトナム人のハーフで育った彼が持つ淡き夢があって、切ない部分もあるんです」
ことしで67歳になった市村さんは、25年にわたって演じ続け、自身の当たり役としてきたこの役を、今回で最後にすると決めています。おととし『ミス・サイゴン』の公演中に初期の胃がんが見つかり、手術のために本番2日目で降板したことが、そのきっかけにもなりました。
「前回の降板があって、いつまでもこの舞台に立てるわけではないなと。よい役と25年間生きることができて本当によかったです。どんなことがあっても生き抜こうとするエンジニアの精神は、僕の25年を支えたモットーでもありました。今回は集大成として、僕のファイナルとして演じきるのもよいかなと思い決断しました。まさに“ミスター・サイゴ(最後)”です(笑)」
(「アメリカン・ドリーム」より)
市村さん演じるエンジニアはキムが働くキャバレーの経営者。フランス系ベトナム人という複雑な生い立ちで、戦争の混乱のなか、したたかに生き抜こうとします。そんなエンジニアの生きざまを歌った「アメリカン・ドリーム」は、この作品の中で最も人気のあるナンバーの1つです。
「エンジニアは何があろうと生き延びてやるという生命力の強さがあります。そのためだったら何でも利用する。頭下げるのだって平気。それと同時に、そこはかとなくフランス人とベトナム人のハーフで育った彼が持つ淡き夢があって、切ない部分もあるんです」
ことしで67歳になった市村さんは、25年にわたって演じ続け、自身の当たり役としてきたこの役を、今回で最後にすると決めています。おととし『ミス・サイゴン』の公演中に初期の胃がんが見つかり、手術のために本番2日目で降板したことが、そのきっかけにもなりました。
「前回の降板があって、いつまでもこの舞台に立てるわけではないなと。よい役と25年間生きることができて本当によかったです。どんなことがあっても生き抜こうとするエンジニアの精神は、僕の25年を支えたモットーでもありました。今回は集大成として、僕のファイナルとして演じきるのもよいかなと思い決断しました。まさに“ミスター・サイゴ(最後)”です(笑)」
誰にもまねできない演技を
今回のエンジニア役は、駒田一さんと、ロックミュージシャンのダイアモンド☆ユカイさんも加わって、トリプルキャストで務めます。
同じ役を演じる駒田さんは「25年前の初演から見てきただけに、市村さんなのかエンジニアなのかもうよく分からないんです」と、その存在の大きさを肌で感じている様子。ユカイさんも「自分は50歳を過ぎてのミュージカル初挑戦で、この世界では新人そのもの。演劇の巨人の市村さんの空気に触れるだけで何かを学び取りたい」と意欲を見せています。
市村さんは、この2人に絶対負けないと強い思いを持っています。
「25年間演じてきて、もう僕の血はほとんどエンジニアになっているので、どこを押されても、どう演出されてもエンジニアになると思います。25年前、初めて出演させていただいたときのナイーブな感覚をもう一度思い起こしながら演じたいし、年齢は67歳になったけれども、誰にも絶対にまねできない僕なりのビビッドな感覚を呼び起こして、新しいエンジニアにしたい」
ミュージカル『ミス・サイゴン』は、東京の帝国劇場でことし10月に開幕、その後、全国ツアーも予定されています。
同じ役を演じる駒田さんは「25年前の初演から見てきただけに、市村さんなのかエンジニアなのかもうよく分からないんです」と、その存在の大きさを肌で感じている様子。ユカイさんも「自分は50歳を過ぎてのミュージカル初挑戦で、この世界では新人そのもの。演劇の巨人の市村さんの空気に触れるだけで何かを学び取りたい」と意欲を見せています。
市村さんは、この2人に絶対負けないと強い思いを持っています。
「25年間演じてきて、もう僕の血はほとんどエンジニアになっているので、どこを押されても、どう演出されてもエンジニアになると思います。25年前、初めて出演させていただいたときのナイーブな感覚をもう一度思い起こしながら演じたいし、年齢は67歳になったけれども、誰にも絶対にまねできない僕なりのビビッドな感覚を呼び起こして、新しいエンジニアにしたい」
ミュージカル『ミス・サイゴン』は、東京の帝国劇場でことし10月に開幕、その後、全国ツアーも予定されています。