オバマ大統領 最高裁判事人事で上院に行動促す
- 2016年02月17日
オバマ米大統領は16日、13日に急死したアントニン・スカリア最高裁判事の後任の承認手続きで、上院に速やかな対応を求めた。
オバマ大統領はスカリア氏の後任人事について、「(上院が)きちんと仕事をするよう期待する」と述べた。
保守派の代表格として知られたスカリア氏の死去を受けて、上院で多数を占める共和党の指導部は、後任の承認手続きを、次期大統領が来年就任するまで延期する方針を示している。最高裁判事人事については、大統領が指名し上院の同意を得ることが米憲法で定められている。
スカリア氏の死去によって最高裁は、民主党の大統領が指名した判事4人と共和党の大統領が指名した4人で拮抗する状態になっており、次の判事によって、リベラル、保守どちらの傾向が強まるのかが決まる。
米カリフォルニア州で米国と東南アジア諸国連合(ASEAN)の首脳会議に出席中のオバマ大統領は記者会見で、「今何が行われるべきか、憲法ははっきり規定している」と述べた。大統領は後任を指名しなくてはならず、上院は承認するかしないか決めるというのが、憲法で定められた手続きだとオバマ氏は強調した。
オバマ大統領は「(最高裁判事指名は)暇なときにしかやってはいけないなどという不文律は存在しない。憲法の条文には書かれていない」と述べた。大統領はさらに、「いずれ」候補者を指名するとし、議会が「根本的な公平性」に基づいて手続きを終えるよう求めた。
米国の最高裁は近年、同性婚や妊娠中絶、オバマ大統領が推し進めた医療保険制度改革など注目が高かった議論で判断を下している。
取りざたされる主な後任候補
・スリカンス・スリニバサン氏――48歳。2013年にコロンビア特別区連邦控訴裁判所の判事として上院の承認を受けており、最有力候補と目されている。
・ジェーン・ケリー氏――51歳。同氏も2013年に連邦控訴裁判所の判事に指名され、上院の全会一致の承認を得ている。今回も候補として名前が挙がっている。
・ポール・ワットフォード氏――48歳。ルース・ベイダー・ギンズバーグ最高裁判事の書記官を務めた経験があり、指名・承認されれば米最高裁で3人目の黒人判事となる。
・カマラ・ハリス氏――51歳。カリフォルニア州司法長官。連邦議会上院への立候補を目指していると報じられてもいる。
(英語記事 Antonin Scalia death: Obama pushes Senate over Scalia seat)