馬には人の気持ちが分かる 研究報告
- 2016年02月10日
ビクトリア・ギル、BBCニュース科学担当記者
馬は人間のうれしい表情と怒った表情を見分けられるという。英サセックス大学の研究チームが研究成果を報告した。
人間の男性の写真を使った実験で、サセックス大の研究者は、飼育されている馬は怒った表情に「否定的な反応」を示したと報告した。
研究チームは、家畜化によって馬は人間の行動に対応し解釈できるようなったのではないかと提案している。
論文は生物学術誌「Biology Letters」に掲載された。
研究チームは乗馬用の厩舎で調査を実施。合計28頭の馬に、大きな写真を次々に見せていった。
研究者エイミー・スミスさんは、「ひとりが馬を抑えている間、別の人が写真を見せていった」と説明する。
「馬は(怒った顔を)左目で見ることが分かった。これが最大の成果だ」とスミスさんは言う。
哺乳類の脳は、左目からの視覚情報を右脳で処理する仕組みになっている。
「右脳は否定的な刺激を専門的に処理する。脳全体を使わないのは、エネルギーを切り分けるためだ」とスミスさん。
研究チームアは馬に心臓モニターを装着。人の怒った顔を見ると心拍数がかなり上がることが分かった。
同様の調査結果は飼い犬でも報告されており、人間と一緒の生活が動物の能力にどのような影響を与えるのかが注目されている。
馬は本能的にお互いの感情は認識するが、人間に飼育されたことで、その認識能力を人間にも対応させた可能性がある。
「馬にはこういう能力もあるのだと分かったし、馬の周りでの人間の振る舞いが馬に影響を与えることも分かった」とスミスさんは指摘した。