不妊治療に光明、精子を包んで卵子に届ける「スパームボット」がスゴイ

2016年02月12日 14時00分

2016年02月12日 14時00分

YouTube/American Chemical Society
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不妊の原因の1つに精子の活動低下があげられるが、その動きを助け、受精させることを可能にするナノロボットの開発が進められている。

精子をらせんで包み、卵子へ届ける

そのロボットの名前は「スパームボット」。この研究を進めているのはドイツのIFW Dresdenなどの研究者たちだ。

彼らは金属でコーティングされたポリマー製の「ミクロらせん」を開発。精子を捕獲し、目的の場所まで移動できるよう、動きをコントロールさせることに成功する。

YouTube/American Chemical Society

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実際に動画では動きの弱まった精子をらせんの中に包み込み、そのまま回転しながら移動。卵子にまで届ける様子が映っている

精子の選択なども重要なカギ

動画に映っている実験は、実際の人体で行われたものではない。ペトリ皿の中で体内に似た環境を作って実施された。

研究者らは報告の中で「人工的に精子を動かすことで受精を成功させる方法には、まだいくつかの課題が残っています。しかし精子の動きをアシストするこの新しい方法が、可能性として治療研究の視野に入れられると信じています」と語っている。

また彼らによれば受精における重要なステップは、精子を選択する適切な手段と卵子を育てる方法を開発することだという。

イギリスなどでは現在、人工授精などの成功率は30%未満しかないと言われている。今後どのようにこれが実用化されていくのか、推移を見守りたい。

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