お騒がせな行動でお馴染みのラッパー カニエ・ウェストが、最新アルバム「The Life of Pablo」を、音楽ストリーミングサービス TIDAL 限定でリリースしました。ところが直前にリリース方法をダウンロード販売からストリーミングのみに切り替えたためか、流出した違法コピーに TIDAL を除くユーザーが群がり、50万回以上もダウンロードされる事態となっています。
TIDAL ではその後、共同オーナーに名を連ねるリアーナやビヨンセといった大物アーティストが相次いで新作を独占配信するようになりました。共同オーナーのひとりカニエ・ウェストも、やはり新作アルバム「The Life of Pablo」を自身のサイトでダウンロード販売するとともに TIDAL 限定でストリーミングすることを発表。自らファンに TIDAL への登録を薦めるなどプロモーション活動に勤しんでいました。
ところが、アルバムリリース日になって何を思ったのか、カニエはダウンロード販売の開始直前になってリリースを1週間延期したうえ、ダウンロード販売の予定をストリーミングのみに切り替えるとしてファンを困惑させます。
しかし実際には、わずかな時間ながらダウンロード販売が行われてしまっていました。そしてそのコピーがファイルネットワーク BitTorrent に流れるや、新譜の入手経路を絶たれたヒップホップラバーたちがこの違法な音源に群がったとみられます。
ファイル共有関連情報サイトの Torrent Freak によると「The Life of Pablo」はわずか数日で50万もの違法なダウンロードが行われたとのこと。記事執筆時点でも BitTorrent 検索サイト Pirate Bay で検索すれば、その Torrent シーダー数は 9000 前後にのぼります。
結局、カニエ・ウェスト本人は、後にリリース延期の理由を「一部楽曲のミックスをやり直すためだった」としており、現在は TIDAL 限定で正式にストリーミング配信を再開しています。
なお、カニエはこの新譜リリースと前後して突如、多額の借金を抱えているとツイートしたり、Facebook のマーク・ザッカーバーグや Google 共同創業者のラリー・ペイジに出資話を持ちかけたり、さらには Apple Music をディスりだすなど、相変わらずのお騒がせっぷりを発揮していました。
Mark Zuckerberg invest 1 billion dollars into Kanye West ideas
— KANYE WEST (@kanyewest) 2016, 2月 14
hey Larry Page I'm down for your help too ...
— KANYE WEST (@kanyewest) 2016, 2月 15
My album will never never never be on Apple. And it will never be for sale... You can only get it on Tidal.
— KANYE WEST (@kanyewest) 2016, 2月 15
ちなみに TIDAL の有料ユーザー数は昨年9月の終わりにようやく100万人に到達したところ。これはサービス開始からわずか6か月で1000万ユーザーを獲得した Apple Music に比べると非常に少ない人数です。それでも TIDAL はビヨンセやプリンスといった共同オーナーのライブ映像をストリーミング配信するなど、他のサービスとの差別化に力を注いでおり、じわじわとではあるもののユーザー数を増やしているとされます。