お騒がせな行動でお馴染みのラッパー カニエ・ウェストが、最新アルバム「The Life of Pablo」を、音楽ストリーミングサービス TIDAL 限定でリリースしました。ところが直前にリリース方法をダウンロード販売からストリーミングのみに切り替えたためか、流出した違法コピーに TIDAL を除くユーザーが群がり、50万回以上もダウンロードされる事態となっています。

TIDAL といえばノルウェーを拠点とした音楽ストリーミングサービスでしたが、2015年にラッパー兼プロデューサーのジェイ・Zが買収。新オーナーと親しいラッパーやミュージシャンを次々と共同オーナーに迎え入れ、その豪華なメンツが揃ったリローンチイベントも世界の注目を集めました。

TIDAL ではその後、共同オーナーに名を連ねるリアーナやビヨンセといった大物アーティストが相次いで新作を独占配信するようになりました。共同オーナーのひとりカニエ・ウェストも、やはり新作アルバム「The Life of Pablo」を自身のサイトでダウンロード販売するとともに TIDAL 限定でストリーミングすることを発表。自らファンに TIDAL への登録を薦めるなどプロモーション活動に勤しんでいました。
 

ところが、アルバムリリース日になって何を思ったのか、カニエはダウンロード販売の開始直前になってリリースを1週間延期したうえ、ダウンロード販売の予定をストリーミングのみに切り替えるとしてファンを困惑させます。

しかし実際には、わずかな時間ながらダウンロード販売が行われてしまっていました。そしてそのコピーがファイルネットワーク BitTorrent に流れるや、新譜の入手経路を絶たれたヒップホップラバーたちがこの違法な音源に群がったとみられます。

ファイル共有関連情報サイトの Torrent Freak によると「The Life of Pablo」はわずか数日で50万もの違法なダウンロードが行われたとのこと。記事執筆時点でも BitTorrent 検索サイト Pirate Bay で検索すれば、その Torrent シーダー数は 9000 前後にのぼります。

結局、カニエ・ウェスト本人は、後にリリース延期の理由を「一部楽曲のミックスをやり直すためだった」としており、現在は TIDAL 限定で正式にストリーミング配信を再開しています。

なお、カニエはこの新譜リリースと前後して突如、多額の借金を抱えているとツイートしたり、Facebook のマーク・ザッカーバーグや Google 共同創業者のラリー・ペイジに出資話を持ちかけたり、さらには Apple Music をディスりだすなど、相変わらずのお騒がせっぷりを発揮していました。



ちなみに TIDAL の有料ユーザー数は昨年9月の終わりにようやく100万人に到達したところ。これはサービス開始からわずか6か月で1000万ユーザーを獲得した Apple Music に比べると非常に少ない人数です。それでも TIDAL はビヨンセやプリンスといった共同オーナーのライブ映像をストリーミング配信するなど、他のサービスとの差別化に力を注いでおり、じわじわとではあるもののユーザー数を増やしているとされます。
カニエ・ウェスト、新譜が違法ダウンロードで50万DLの"大ヒット"。TIDALでのストリーミング限定が裏目に?

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