豊富なデザインと高い品質で人気を集める米国メーカーの抱っこひも「エルゴベビー」を日本で唯一取り扱う正規総代理店ダッドウェイ(横浜市港北区)が、数年前から出回っている偽造品を見分けるための最新技術を導入した。人気商品の盗用を食い止めるため、徹底した対策を講じる考えだ。
同社が確実に偽造品を見分けようと導入したのは、NECが開発した「物体指紋認証技術」。専用アプリをダウンロードしたスマートフォンやタブレット端末のカメラで製品の一部を撮影し、事前に登録した正規品の画像と模様などが一致するかを識別する。照合の結果、画面上には○か×が瞬時に表示され、見分け作業時間の短縮効果もある。
ベビーグッズの企画・輸入販売を手掛ける同社は2008年秋からエルゴを販売している。登山用リュックサックのような頑丈な肩ひもや幅広な腰ベルトで子どもの体重を支え、抱っこする際の負担が軽い。豊富なカラーも評判で、約5年前から日本で人気が出た。現在は国内の抱っこひもシェアの約5割を占めるという。
一方、流行と同時にインターネットで偽造品が売られるようになった。正規品の写真で商品を紹介する例もある。購入者から「バックルがゆるんでいる」などの不良の相談を受けていた同社は14年にネットで販売されている25点を購入し調べたところ、14点が偽造品と判明した。
同社エルゴベビー事業本部の布施真行さんによると、偽造品は「ベルトが滑りやすく使用中に緩んだり、生地自体が薄いなどの特徴があった」。これまでは布施さんが税関などに出向き偽物かどうか判別してきたが、徐々に巧妙になり目視だけでの判断が難しくなっていったという。そこで、今回のシステムを導入した。
対応するのは、昨年11月以降に出荷した新商品。「偽物には全く強度が足りないものもあり、乳児が転落するなど命の危険に関わる」と偽造品流出を重く受け止める同社。広報の石川美和子さんは「偽造品対策を講じている姿勢を打ち出すことで、悪質業者の動きを止めたい」と話す。
同社のホームページでは正規取り扱い店舗のリストも表示している。「お子さんの安全のため、正規ルートで購入するよう心掛けてほしい」と呼び掛けている。
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