【ソウル聯合ニュース】韓国政府は10日、北朝鮮による4回目核実験と長距離ミサイル発射に対応する措置として、南北が経済協力事業を行う開城工業団地の稼動を全面的に中断する決定を下した。
韓国政府が、南北関係の「最後の砦(とりで)」と認識されてきた開城工業団地の稼動中断という超強硬な独自制裁カードを切ったのは、北朝鮮の核、ミサイル開発を容認しないという姿勢を明確に示すとともに、国連安全保障理事会の実効的で強力な対北朝鮮制裁決議を引き出すための布石とみられる。
韓国統一部の当局者はこの日、「韓国や国際社会の度重なる警告にもかかわらず、核実験に続き再び長距離ミサイルを発射したことは見過ごせない挑発。政府は苦慮の末にきょうから開城工業団地(の操業)を全面中断することを決めた」と伝えた。北朝鮮の継続的な挑発で韓国国民の安全や朝鮮半島の平和、企業の経営活動が脅かされている現状では、過去のように団地を正常的に稼働させられないと説明した。
韓国政府は団地に残っている韓国国民184人の安全な帰還を最優先に、必要な措置を迅速に進める方針だ。団地に入居する韓国企業の被害を最小限にとどめるための支援も行う予定だ。
韓国政府は同日午後、北朝鮮側に団地の稼動中断を決定したと通知した。韓国側の決定に対し北朝鮮側は強く反発すると予想される。
韓国政府の今回の決定は、北朝鮮の核・ミサイル開発資金の遮断が目的だという。団地の稼動により、北朝鮮労働者の賃金を含め年間1億ドル(約115億円)が北朝鮮に流入するといわれる。
団地の稼動中断は、安保理で過去とは異なる強度の対北朝鮮制裁を引き出すための事前措置の性格も帯びている。
同当局者は「われわれは、北が核を放棄し変化せざるを得ないようにさせる国際社会の努力をリードしなければならない。過去とは異なるレベルの措置が必要だった」と説明した。
また、団地の再稼動の条件については「核、ミサイルの開発に対するわれわれと国際社会の懸念を北が解消し、団地の正常な運営のための環境を整えなければならない」と述べた。