ファウンドリー最大手、台湾積体電路製造(TSMC)と同業大手の聯華電子(UMC)は、台湾南部地震による12インチウエハー破損枚数が計5万枚を上回ったことを受け、シリコンウエハー大手の台塑勝高科技(フォルモサ・サムコ・テクノロジー、台勝科)と崇越科技(トプコ・サイエンティフィック)に緊急発注を行ったもようだ。16日付経済日報が報じた。
地震後にTSMCとUMCの南部科学工業園区(南科)工場に入った設備メーカーによると、生産ラインのウエハー破損はかなり深刻で、TSMCだけで被害は数万枚に上ったという。業界関係者は、両社は出荷に遅れが生じないようウエハーを追加発注するしかないと指摘した。
TSMCは、南科Fab14は先週生産を再開したが、地震による被害は当初予想より深刻だと認めた。UMCは、生産ラインに大きな影響は出ていないとコメントした。
一方、台勝科と崇越科技にとっては、地震特需で第1四半期に早くも需要期が到来した格好だ。
台勝科は日本のSUMCOと台塑集団(台湾プラスチックグループ)の合弁会社で、12インチシリコンウエハーでは台湾最大手。雲林県麦寮郷に年産能力28万枚の工場を持つ。同社はもともと3月の受注増に備えて、台湾で迅速にスライスできるようSUMCOからインゴットを調達するなど在庫を大幅に積み増していた。TSMCとUMCからの緊急受注に対しては、麦寮工場で素早く対応できることから地震特需の恩恵を最も受ける。
崇越科技は台湾で信越化学工業のシリコンウエハー代理販売などを手掛けている。
売上目標達成に自信
TSMCが15日発表した1月の連結売上高は前月比21.4%増、前年同月比18.7%減の708億5,500万台湾元(約2,500億円)で、2カ月続いた前月比減収がストップした。
TSMCは2月売上高が南部地震の影響を受けると懸念されているが、同社は、被害に遭った生産ラインは全て復旧して出荷を急いでいるため、第1四半期の売上高目標(前期比1.3%〜2.7%減の1,980億〜2,010億元)は達成できると自信を見せた。
半導体業界関係者は、今回の地震でTSMCとUMCの南科工場が被害を受けたことで、第2四半期に在庫を積み増す計画だったチップメーカーが追加発注・生産能力確保を早めていると指摘。半導体の在庫調整が早めに終わるとして、TSMCは3月売上高の大幅成長が見込めると予想した。
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