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 長野県軽井沢町のスキーツアーバス事故で、転落後のバスのギアがニュートラルの状態だったことが関係者への取材でわかった。県警の検証で判明し、下り坂でエンジンブレーキが利かなかった可能性がある。転落直前の速度が時速約80キロだったことも、車載の運行記録計から確認された。

 県警は、バスを製造したメーカーの立ち会いで車体を20日まで検証した。関係者によると、車体内部ではタイヤ側とエンジン側のギアがかみ合っていないニュートラルの状態だった。

 ニュートラルでは、エンジンの抵抗力を利用するエンジンブレーキや、その働きを補助する排気ブレーキが利かなくなる。転落前からニュートラルだった場合、下り坂で減速し切れなかった可能性がある。

 メーカーによると、バスは6段変速のマニュアル車。エンジンブレーキは低速ギアの方が利きやすいが、運転手が高速ギアから低速ギアに無理に変速しようとすると、ニュートラルか元のギアになるプログラムが搭載されている。エンジンの回転数が高くなりすぎて壊れるのを避けるためだという。

 国土交通省関係者は「大型車の運転に不慣れな運転手が急に低速ギアに入れようとしてニュートラルになり、エンジンブレーキで減速できずパニックになった可能性がある」とみる。ただ、事故の衝撃でギアがニュートラルに動くこともあり、県警は慎重に調べている。