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<スキーバス転落>下り1キロ減速せず 運行記録計で判明

毎日新聞 2月15日(月)10時38分配信

 長野県軽井沢町のスキーツアーバス転落事故で、バスは現場手前の峠頂上から事故現場までの下り坂約1キロ区間を加速し続け、減速した形跡はないことが、バスに装着された運行記録計(タコグラフ)の記録から分かった。捜査関係者が明らかにした。現場の国道の制限時速は50キロだが、転落直前は96キロに達していた。

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 大学生13人と乗員2人が死亡し、乗客26人が重軽傷を負った事故は15日、発生から1カ月を迎えた。県警軽井沢署捜査本部は、土屋広運転手(65)=死亡=がブレーキを踏んだものの、速度が出過ぎていて制御できなかったとみて、自動車運転処罰法違反(過失致死傷)容疑で捜査している。

 捜査関係者によると、バスは国道18号碓氷(うすい)バイパスの入山(いりやま)峠を越えた直後から始まる約300メートルの急な直線の下り坂で加速。現場手前約250メートル地点では、高速でカーブを曲がったため極度に荷重が偏った際に付いたとみられる右側タイヤ痕が二つ、新たに確認された。タコグラフの速度記録は上昇し続けており、ギアはエンジンブレーキが利かないニュートラルに入った状態で走行していた可能性が高いという。

 一方、現場直前と約100メートル手前の路面にそれぞれ、ブレーキ痕とみられるものがあり、ブレーキを踏んだものの速度を落とせずに転落事故が起きたと、捜査本部はみている。

 捜査本部の車両検証では、部品の一部に劣化はあったが、エンジンやブレーキなどの主要な装置に目立った異常はなかった。バスが現場手前のカーブを曲がっていることから、居眠り運転や運転手の突発的な病気の可能性は低い。

 ただ、運転手が死亡したことや、タコグラフでは秒単位の速度の変化は分からないことから、ある捜査員は「ギアがいつ、どうしてニュートラルに入ったかを解明するのは、非常に困難。雪解けを待って同型のバスを走らせ、現場やタコグラフに残されたわずかなデータと照らし合わせて少しでも真相に迫りたい」と話す。

 バスは1月14日夜、長野県北部のスキー場に向かって東京を出発。藤岡インターチェンジ(群馬県藤岡市)で関越自動車道を下り、15日午前1時55分ごろ、現場の下り坂でセンターラインを越えて約3メートル下に転落した。国土交通省は、バス運行会社「イーエスピー」(東京都羽村市)の貸し切りバス事業許可を取り消す方針。【川辺和将、安元久美子】

最終更新:2月15日(月)11時50分

毎日新聞

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