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ゲーマー日日新聞

ゲームという文化を、レビュー、攻略、考察、オピニオン、産業論、海外記事の翻訳など、複数の視点で考えるブログ。

LJLとSANKOは自らの姿勢を問い直せ

ゲーム業界について

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e-Sportsは所詮、ゲームの販促イベントの建前に過ぎないのか

昨日、MOBA系『League of Legends』と呼ばれるマルチプレータイトルの、プロシーンにおいて衝撃的な事件が発生した。

Dragonfly Gaming、SCARZ両チームに対し、2月18日から開催予定だった国内最大級の大会予選に、2名の選手が2試合の出場停止処分が、公式リーグ「League of Legends Japan League」により下ったためである。

このような処分自体は珍しくない。オフィシャルのLJLから直接処分されること自体はともかく、選手の素行に対するチームの自粛はままあることで、先月にも優勝候補DetnatioNからも暴言を吐いた選手には自粛を徹底させている。

問題はこの処分に至った経緯と、その結論として事件性をリークしたチームへ、出場停止処分という結論へ至ったからにほかならない。

 

昨日、オンラインを介して行われた公式の大会において、ある選手の挙動から「選手の替え玉疑惑」が浮上したことと、その最大の根拠として海外IPの使用について調査が行われた。

「替え玉疑惑」そのものは立証されなかったが、海外IPによる参加はLJLによる調査により証明され、更には処分対象となった2チームとは他のチームからも、同じく海外IPによるアクセスが認められている。

仮に「替え玉」の存在を否定したとしても、北米サーバーで行われる大会でpingの少ない北米在住の選手が参加すること自体、公平性が乏しいと言わざるをえない。日本サーバーが存在せず、ラグに悩まされるプレイヤーは、アマチュアでさえ少なくない。

しかしながら、LJLはルール上にこれらを明記することなく、そのため海外IPによるアクセスが認められたチームに対しても、軽い処分で済ませている。

一方、この点について最初に言及し、独自に調査を行った内容をウェブ上で公開したチーム「KINGDOM」は、出場そのものの停止処分という重い処分が渡されている。

 

この事件における最大の問題点は、LJL CSの極めて不明瞭で独善的な対応に他ならない。

第一に、ラグを考慮して海外在住の選手を起用する制約につき、何ら具体的な項目がなかったのは、あまりに手酷い過失と言わざるをえない。(最も、KINGDOMの主張では直接「説明」はあったそうだが。)

本作における「ラグ」の存在は、日本サーバーを待望してやまないユーザーの声からも明らかで、現にKINGDOMは「KINGDOMには試合開始時に毎回Reconnectを繰り返し、ギリギリ動けるpingでプレイしている選手が多数居ます。」と主張している。

当然誰もが予測できた手段に対し、それを規制するルールが存在しなかった。これは果たして、「リーグの未熟さ」だけで説明されるものか、あるいは「チームの卑劣さ」と言えるか。実体は「運営の過失」ではないか。

 

第二に、KINGDOMに対する処罰の安易さと、自己を顧みないLJLの姿勢が浮き彫りになっている。

KINGDOMによる告発文自体に、不手際がなかったとは言えない。事実、証拠らしいものはSkypeによる「自白らしきもの」に留まり、証拠性は乏しいと言わざるをえない。加えて、内容もKINGDOMの結論ありきの感情的な主張が散見される。

確かに、LJLの主張する「9.1.3 破壊的な言動、侮辱 チームメンバーは、相手チームのメンバー、ファン、LJL へ向けて、侮辱 的、嘲笑的、破壊的あるいは敵対的ないかなる行為またはジェスチャーも 行ってはなりません。また、メンバー以外の個人に、かかる行為を行うよ う唆すことも禁止されています。」に関し、KINGDOM自身への罪状は否定できない。

しかし、そもそもKINGDOMを始めとした各論による疑惑から、LJL自身が何ら具体的なアクションを起こさず、情報や捜査について発表を起こさなかったことで、より事態を悪化され、KINGDOMを刺激したのではないか。

そもそも、LJLが事態に関する発表を初めて公表したのは、事件についてKINGDOMが調査を続け、独自の暴露記事を公表した2月13日から、更にSNSで話題になるなどした2日後の2月15日である。

大会が行われた2月4日から11日も経過し、KINGDOMによる記事から2日経過し、ようやく「事態の収拾を試みた」LJLの対応はあまりに杜撰であり、何よりKINGDOMを始めとした各関係者による疑惑が放置され続けていたことからも、不誠実極まりない対応ではないか。

KINGDOMへの処分は、疑惑に留まる不正行為で他チームを侮辱した点が根拠とされているが、仮に結論までたどり着く過程を考慮しても、LJLはすぐさまKINGDOMらの訴えに対応し、調査における進捗状況を公的な場で発表すべきだったはずだ。

LJLの対応の遅滞が、KINGDOMによる暴露を抑止できなかったことは勿論、その空白の期間がインターネット上の疑惑や不満を加速させ、疑惑を持たれた当事者のプレイヤーたちへの風評を悪化させたことは否定できない。

「機密漏洩」とKINGDOMへ処分を下したLJL自身は、自らの対応に関しても考慮していたのだろうか。

 

結論として、今回の「DFG、SZ両チームへの替え玉疑惑及び海外IPアクセスへの対応」と「KINGDOMへの機密漏洩に関する処罰」という2つの事件に関し、いずれも公式リーグLJL CSの重い過失が認められたように思う。

ルールへの不手際、情報の軽視と風評の拡大、チームとの消極的なコミュニケーションは当然として、いずれも民間企業に求められる当然の水準さえ、まるでクリア出来ていなかったことは明らかであり、LJLを運営するSANKO、並びに監督義務を怠ったRIOTらは、重く事態を受け止めるべきである。

これら一連の流れは、単なる『League of Legends』の作品のみならず、日本のe-Sports業界全体への風評が悪化したことに他ならない。インターネット・ゲームである以上、SNSを含めたネット上の風評、対応は極めて重要であり、これらを放置していた判断はあまりに安易だった。

加えて、DFGやSZに関しては、「替え玉」疑惑はともかく、海外IPによる参加は日本の『LoL』ユーザーなら誰でも理解できる「抜け道の利用」であり、その時点でファンの失望を買ったことは否定できない。

KINGDOMに対しても、事件の発端となったリークがなければ、以上の事実が隠蔽されていたことからも、リークの価値は公共に還元されたと考えるが、それでも手段や文面に配慮し、第三者との協力関係が築くべきだったと思う。

LJLとの対話が難しければ、メディアや他チームとの連携やコミュニケーションを築くことで、今回のような処分は避けられたのではないか。

 

一連の流れは、e-Sportsというものを、「聞こえはいいが、実体はゲームの販促イベント」という認識に落ち着かせてしまった。

その当事者でもある、Riot GamesやLJLはともかく、様々な形で自らを売り込み、また日々切磋琢磨を繰り返す選手たちの努力が、このような形で無為にされるのは、あまりに残酷という他ない。

今回の反省点は各チーム、LJLいずれにも見られたが、少なくともその影でe-Sportsを支える人間が多数いることを忘れてはならない。とりわけ、LJLを主催するSANKO並びにRiot jpに関しては、多数の失態と共に今後とも努力する姿勢が求められる。

また、KINGDOMのような当事者によるリークを裏付けるためにも、公式側の誠実な姿勢は当然として、個人ブログやまとめサイトに依らない、利用者と信頼性を両立できる中立的なメディアの存在が必要とされている。

 

<ソース>

LJL CS予選ならびにCS開幕戦に関してのご報告 - League of Legends Japan League

LJL CS予選について | KINGDOM | 日本LoLセミプロチーム