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西之島 表面的な活動に低下 警戒範囲縮小2月17日 19時02分
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小笠原諸島の西之島について、専門家などで作る火山噴火予知連絡会は、「去年11月下旬以降、噴火などは確認されておらず、表面的な活動に低下が認められる」などとする検討結果をまとめました。これを受けて、気象庁は、島の中心からおおむね4キロ以内としていた警戒が必要な範囲を、火口からおよそ1.5キロ以内に縮小しました。
火山噴火予知連絡会は17日午後、気象庁で定例の会合を開き、各地の火山活動について検討しました。
このうち、小笠原諸島の父島の西およそ130キロにある西之島では、3年前の11月以降活発な噴火活動や溶岩の流出が続いていましたが、海上保安庁による上空からの観測では、去年11月下旬以降噴石を噴き出す噴火や溶岩の流出は確認されていません。このため、火山噴火予知連絡会は「西之島では表面的な活動に低下が認められる」としたうえで、これまで2年以上活発な火山活動が続いてきたことから「火口からおおむね1.5キロ以内では噴火に警戒が必要だ」とする検討結果をまとめました。
これを受けて気象庁は、西之島に火口周辺警報を継続したうえで、島の中心からおおむね4キロ以内としていた警戒が必要な範囲を島の中央の火口からおおむね1.5キロ以内に縮小しました。海上保安庁も「航行警報」の範囲を、島の中心から半径1.5キロの範囲に縮小したうえで、近くを航行する船に警戒を呼びかけています。
このうち、小笠原諸島の父島の西およそ130キロにある西之島では、3年前の11月以降活発な噴火活動や溶岩の流出が続いていましたが、海上保安庁による上空からの観測では、去年11月下旬以降噴石を噴き出す噴火や溶岩の流出は確認されていません。このため、火山噴火予知連絡会は「西之島では表面的な活動に低下が認められる」としたうえで、これまで2年以上活発な火山活動が続いてきたことから「火口からおおむね1.5キロ以内では噴火に警戒が必要だ」とする検討結果をまとめました。
これを受けて気象庁は、西之島に火口周辺警報を継続したうえで、島の中心からおおむね4キロ以内としていた警戒が必要な範囲を島の中央の火口からおおむね1.5キロ以内に縮小しました。海上保安庁も「航行警報」の範囲を、島の中心から半径1.5キロの範囲に縮小したうえで、近くを航行する船に警戒を呼びかけています。
地震計 噴火活動の変化捉える
活発な噴火活動が続いていた小笠原諸島の西之島では、多いときには1日に2400回近くの噴火が発生していたとみられることが、東京大学地震研究所が周辺の海底に設置した地震計のデータの解析から明らかになりました。地震計では噴火活動が低下していく変化も捉えられていて、専門家は、今後さらに解析を進め、噴火のメカニズムの解明につなげていきたいとしています。
小笠原諸島の父島の西およそ130キロにある西之島では、3年前の11月以降、およそ2年間にわたって活発な噴火活動が続き、流れ出した溶岩によって島の面積は元の島のおよそ12倍に拡大しましたが、島の4キロ以内には近づけず噴火活動の詳しい実態は分かっていません。
東京大学地震研究所の篠原雅尚教授らのグループは、去年の2月末から10月初めまでのおよそ7か月間にわたって西之島の周辺の海底に5台の地震計を設置し記録されたデータを解析しました。その結果、地震計には噴火に伴う特殊な形の波形が記録されていて、その数は合わせて36万3367回に上り、7月の最も多いときには24時間で2369回と、1時間に100回近くの噴火が繰り返し発生していたとみられることが分かりました。また、去年3月から7月にかけては月の回数が5万回を超え、7月は59197回と最も多くなっていました。一方で、波形による噴火の回数は、去年8月は49772回、去年9月は36098回とその後減少が続き、同じ傾向が続いたとすると、去年12月下旬には噴火が停止する計算になったということです。
海上保安庁による上空からの観測でも、去年11月には噴火の回数が1時間に1、2回程度まで減り、去年12月以降の観測では噴火は確認されていません。グループでは地震計による観測でも噴火活動が低下していく変化が詳細に捉えられていたとしています。
解析を行った篠原教授は、「西之島では最近、噴火活動が低下しているのではないかと言われていたが、そのことが初めて科学的に裏付けられたと言える」と話しています。
小笠原諸島の父島の西およそ130キロにある西之島では、3年前の11月以降、およそ2年間にわたって活発な噴火活動が続き、流れ出した溶岩によって島の面積は元の島のおよそ12倍に拡大しましたが、島の4キロ以内には近づけず噴火活動の詳しい実態は分かっていません。
東京大学地震研究所の篠原雅尚教授らのグループは、去年の2月末から10月初めまでのおよそ7か月間にわたって西之島の周辺の海底に5台の地震計を設置し記録されたデータを解析しました。その結果、地震計には噴火に伴う特殊な形の波形が記録されていて、その数は合わせて36万3367回に上り、7月の最も多いときには24時間で2369回と、1時間に100回近くの噴火が繰り返し発生していたとみられることが分かりました。また、去年3月から7月にかけては月の回数が5万回を超え、7月は59197回と最も多くなっていました。一方で、波形による噴火の回数は、去年8月は49772回、去年9月は36098回とその後減少が続き、同じ傾向が続いたとすると、去年12月下旬には噴火が停止する計算になったということです。
海上保安庁による上空からの観測でも、去年11月には噴火の回数が1時間に1、2回程度まで減り、去年12月以降の観測では噴火は確認されていません。グループでは地震計による観測でも噴火活動が低下していく変化が詳細に捉えられていたとしています。
解析を行った篠原教授は、「西之島では最近、噴火活動が低下しているのではないかと言われていたが、そのことが初めて科学的に裏付けられたと言える」と話しています。
専門家「予測精度向上につながることを期待」
今回の調査結果について、火山活動に詳しい東京大学地震研究所の武尾実教授は、西之島の噴火活動がどう変化していったかを細かく把握できるとしたうえで、将来的には、噴火活動がどう推移するかなどの予測精度の向上につながることが期待されるとしています。
武尾教授によりますと、西之島は、およそ2年間という長期間にわたって粘りけの少ない溶岩が大量に流出し続け、島が拡大した非常に珍しい噴火活動で、今回のおよそ7か月間にわたる地震計による観測によって、噴火活動が時間ごとにどう変化したかを連続して把握できたとしています。また、今回の観測データを、衛星による観測データなどと照合することで、今後、噴火活動についてさらに詳しく解明する手がかりになると指摘しています。
そのうえで武尾教授は、「西之島の噴火活動を解明することは、伊豆大島や三宅島など、同じような性質を持つ火山島の噴火活動の理解にもつながる。また、マグマの粘りけが噴出量や噴火のしかたにどう関係しているのかがより詳しく分かってくれば、将来的には、噴火活動がどう推移するか予測精度の向上にもつながることが期待される」と話しています。
武尾教授によりますと、西之島は、およそ2年間という長期間にわたって粘りけの少ない溶岩が大量に流出し続け、島が拡大した非常に珍しい噴火活動で、今回のおよそ7か月間にわたる地震計による観測によって、噴火活動が時間ごとにどう変化したかを連続して把握できたとしています。また、今回の観測データを、衛星による観測データなどと照合することで、今後、噴火活動についてさらに詳しく解明する手がかりになると指摘しています。
そのうえで武尾教授は、「西之島の噴火活動を解明することは、伊豆大島や三宅島など、同じような性質を持つ火山島の噴火活動の理解にもつながる。また、マグマの粘りけが噴出量や噴火のしかたにどう関係しているのかがより詳しく分かってくれば、将来的には、噴火活動がどう推移するか予測精度の向上にもつながることが期待される」と話しています。
「噴火の可能性 捨てきれず」
小笠原諸島の西之島について、火山噴火予知連絡会の藤井敏嗣会長は「これまでは火口丘での活発な噴火が続いていたので、海底での噴火の危険性もあると考えていたが、活動が静かになっているので、当面は監視が必要なのは山頂付近での爆発的な噴火だと判断した」と述べて、警戒範囲を縮小した理由を説明しました。
また、西之島の総合観測班の班長を務める東京大学地震研究所の中田節也教授は「2年近くにわたって活発な噴火活動を繰り返してきたので、今後も水蒸気噴火や爆発的な噴火が発生する可能性は捨てきれない。これまでの観測では噴火に伴う噴石が火口から1キロ程度まで飛んでいることが確認されていて、安全を見込んで1.5キロと判断した」と述べました。そのうえで、今後の見通しについては、「現在、周辺に設置している海底地震計を回収して解析し、地震計のデータからも噴火が発生していないか確かめたうえで、規制範囲をさらに縮小し、上陸できるような態勢を整えたい」と述べました。
また、西之島の総合観測班の班長を務める東京大学地震研究所の中田節也教授は「2年近くにわたって活発な噴火活動を繰り返してきたので、今後も水蒸気噴火や爆発的な噴火が発生する可能性は捨てきれない。これまでの観測では噴火に伴う噴石が火口から1キロ程度まで飛んでいることが確認されていて、安全を見込んで1.5キロと判断した」と述べました。そのうえで、今後の見通しについては、「現在、周辺に設置している海底地震計を回収して解析し、地震計のデータからも噴火が発生していないか確かめたうえで、規制範囲をさらに縮小し、上陸できるような態勢を整えたい」と述べました。