道路の横断歩道でない場所を横断していて、飲酒運転の車にはねられ死亡した被害者の遺族が、加害者が加入している損害保険会社を相手取り損害賠償を求めた訴訟で、ソウル中央地裁民事64部(リュ・チャンソン裁判官)は9日、「保険会社は遺族に8500万ウォン(約815万円)を支払うように」と命じる判決を下した。
加害者は2014年7月24日午後11時30分ごろ、酒を飲んで乗用車を運転し、慶尚北道栄州市の道路を走行していた。酒の影響で注意力が散漫な中、道路を横断していた被害者に気付くのが遅れ、ブレーキを掛けたが間に合わず、被害者をはねた。被害者は病院に搬送されたが、2日後に死亡した。
被害者の遺族は、飲酒運転をしていた加害者が加入している保険会社に、葬儀費用や慰謝料などの名目で1億2150万ウォン(約1165万円)を要求した。これに対し保険会社は「横断歩道でない場所を横断した被害者の過失も大きい」として支払いを拒否したため、遺族は訴訟を起こした。
地裁は判決で「事故当時のさまざまな状況を勘案すると、保険会社は遺族が受けた精神的・物質的な被害に対し賠償する責任があるが、被害者が横断歩道でない場所を横断したことも事故の原因だ」として、損害額全体のうち保険会社の責任を70%、被害者側の責任を30%とした。