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患者3人B型肝炎で死亡 院内感染否定できず
2月17日 17時33分

患者3人B型肝炎で死亡 院内感染否定できず
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去年、神戸市内の病院に入院していた3人の患者が相次いでB型肝炎を発症し、死亡したことが分かりました。病院は、院内感染の可能性が否定できないとして、ほかに感染した患者がいないか調べています。
神戸市北区にある地域医療機能推進機構「神戸中央病院」が、記者会見して明らかにしたところによりますと、去年7月から8月にかけて同じ病棟に入院していた60代から90代までの男女3人の患者が相次いで急性B型肝炎を発症し、その後、症状が急激に悪化する劇症肝炎を引き起こして、去年11月から12月にかけて死亡したということです。
病院は、保健所に報告するとともに、外部の専門家による調査委員会を設けて原因などを調べました。その結果、死亡した3人の患者から検出されたB型肝炎ウイルスの遺伝子がほぼ一致し、さらに同じ時期に入院していた別の患者からも遺伝子がよく似たウイルスが検出されたということです。このため病院は、院内感染の可能性が否定できないとして、当時、同じ病棟に入院していた患者についても、感染の有無を調べる検査を受けるよう呼びかけています。今のところ、ほかの入院患者にはB型肝炎を発症した人はいないということです。
大友敏行病院長は、「3人が亡くなったことを大変重大に受け止めています。今後も感染対策に徹底して取り組んでいきたい」と話しています。

病院の対応

病院によりますと、B型肝炎を発症して死亡した3人の患者は、いずれも入院した段階ではB型肝炎ウイルスに感染していなかったということです。
患者が死亡したことを受けて、病院は第三者による調査委員会を設置して、原因や感染ルートを調べました。B型肝炎ウイルスが血液などを介して感染することから、点滴の処置や、血糖値を測る検査の手順などを確認しましたが、これまでのところ感染を起こすような問題点は見つかっていないということです。また、B型肝炎ウイルスが見つかった死亡した3人を含む4人の患者は、当時、別々の病室に入院し、全員に共通する処置はなかったということで、感染経路は特定されていません。

B型肝炎とは

B型肝炎は、血液や体液を通じてB型肝炎ウイルスに感染することで引き起こされます。飛まつや食べ物を通じては感染しないとされています。
東京大学附属病院の四柳宏准教授によりますと、大人の場合、1か月から6か月の潜伏期間ののち、発症すると全身の倦怠感や吐き気、おうだんなど急性の症状が出ます。このうち、症状が急激に悪化する劇症肝炎になる人は1%から3%ほどと言われ、肝臓の細胞が短期間に大量に壊れるため適切な治療を行わないと高い確率で死に至ります。

専門家は

院内感染の問題に詳しい大阪大学医学部の朝野和典教授は「B型肝炎は劇症化するのがまれで、同時期に3人が亡くなるというのは、最近では聞いたことがなく驚きだ。病院でもほかに感染者がいないか調べていると思うが、健康被害の広がりを徹底的に調査するとともに、感染経路が特定されるまでは、これまでの院内感染の事例を参考に考えられるあらゆる経路について対策を改善していく必要がある」と話しています。

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