香港に長期出張している韓国人会社員のAさん(38)は旧正月の8日、韓国に住むおい、めいにケーキと引き換えられるギフティコン(Gifticon、モバイル商品券)をお年玉代わりにあげた。新年のあいさつはビデオ通話で受けた。Aさんは「外国にいながらにしてビデオ通話で新年のあいさつを受け、お年玉もスマートフォン(スマホ)のギフティコンで渡せる。便利な世の中になった」と話している。
スマホの普及に伴い、しわのない新札紙幣の代わりにギフティコンでお年玉をやりとりする人が増えている。インターネット通販のCJ Oショッピングは今年、旧正月連休直前の2週間(1月22-2月4日)のギフティコンの売り上げがその前の2週間(12月22-1月4日)に比べ26%増加した。
大学教授のBさん(53)も昨年から現金ではなくギフティコンでお年玉を渡している。今年の旧正月にも高校生の娘に化粧品の引換券を贈った。Bさんは「以前は現金で小遣いやお年玉を渡していたが、主にネットカフェで使っていた。どうせ渡すなら使い道が決まっているギフティコンの方がましだ」と話している。
名節(旧正月や秋夕〈中秋節〉)の贈り物にもギフティコンが活用されている。米ニューヨーク大に留学中のCさん(28)は、今年の旧正月にカカオトーク(無料チャット・通話アプリ)のチャットを使って両親にホテル食事券を贈った。ギフティコンサービスを提供するSKプラネットの関係者によると、昨年の旧正月直前にはギフティコンの売り上げが平素の約3.4倍に急増したという。大型スーパーの商品券や文化商品券が人気で、通常は名節の2日前に販売が最も多くなるとのことだ。
一方で、こうした風潮に対する反感も少なくない。就職専門サイト「インクルート」が先ごろ実施したアンケートで、回答者4960人のうち35.1%が「お年玉は絶対に(ギフティコンや商品券、品物ではなく)現金であるべき」と答えた。直接会って新年のあいさつをしたおい、めいにだけ現金のお年玉を渡すというDさん(57)は「正月のたこの代わりにドローン(小型無人機)を飛ばす世の中になったとしても、新年のあいさつとお年玉は気持ちを表すものなのだから、顔を合わせてやりとりするのが正しいのでは」と語った。