しかしそれだけでは当然不十分かもしれない。まず北朝鮮の核の脅威が現実となった時に、果たして適切な時期にわれわれが期待するレベルで米国が対応してくれるか、この点については誰も確信は持てない。米本土が攻撃されない安全な状況で、核の傘を最後まで稼働させる大統領が果たして出てくるかも疑問であり、また核の傘の使用を決める際、韓国の意向がどれだけ反映されるかも疑わしい。われわれの統制の外にある核の傘だけを信じ、目前に迫っている脅威に手をこまねいていることなどできないのだ。
われわれはもうこれ以上実効性のない北朝鮮への制裁や、あくまで防御用となるTHAAD配備、また米国の不確実な核の傘ばかりに頼ってはいられない。東北アジアにおける軍事のアンバランスを解消する方策について、米国、日本、台湾などと共に本格的に協議を行うべき時を迎えている。米国も自分たちの核の傘だけを信じるよう求めるだけではなく、東北アジアの軍事バランスが傾きつつあることを今や認めるべきだろう。
たとえ血盟関係とはいっても、国の安全保障を同盟国だけに依存するわけにはいかない。周囲を敵に囲まれているイスラエルは80発の核兵器を保有しているが、その事実については肯定も否定もせず、また核拡散防止条約(NPT)への加盟も拒否している。いわば核主権を最後まで固く保持しているわけだ。韓国もイスラエルの生存戦略についてさらに理解を深め、参考にすべき点は参考にしなければならない。