【社説】韓国は核の傘ばかりに頼ってはいられない

 北朝鮮は射程距離3000キロ前後の中距離ミサイル「ムスダン」の開発を行う際、数千度の高熱に耐えられる弾頭の耐熱技術をすでに確保したとされている。これは弾頭がいったん大気圏の外に出てから再び戻る際に発生する温度だ。もし北朝鮮が核弾頭を500キロ前後にまで小型化させ、大気圏の再突入技術も完全に手にすれば、これは北朝鮮が核兵器を実戦配備する段階に入ったことを意味する。そうなれば核兵器はもはや想像上の兵器ではなく、韓国や日本はもちろん、米国にとっても現実的な脅威となるのだ。

 今や韓国、米国、日本は東北アジアにおける軍事バランスが崩壊している事実を認めざるを得ない。中国にはすでに250発以上の核兵器が配備されており、7500発以上を保有するロシアもそれらのほとんどを極東に配備している。これに北朝鮮まで加勢してくれば、東北アジアの核バランスは完全に崩壊する。韓国、日本、台湾など自由陣営の国々はこれに対抗もできない空白状態に置かれたのだ。米国の原子力潜水艦やイージス艦、戦略爆撃機などが東北アジアに配備されているとしても、これだけで対応するにはどうしても限界があるはずだ。

 現在、ドイツ、イタリア、オランダ、ベルギー、トルコの欧州5カ国には200発前後の米国の戦略核兵器が配備されている。これらの国々は米国と「ニュークリアシェアリング」と呼ばれる考え方に基づき、核兵器の使用に向けた協議に参加し、共同の意志決定およびその実行に加わる権限を有している。最終的な決定権を持っているのはあくまで米国だが、核兵器の統制に部分的ではあるが関与しているのだ。

 米国は韓国に対し「核の傘による保護を受けている」として安心させようとしている。しかし韓半島(朝鮮半島)の戦略核兵器は1992年に完全撤収した。韓国政府はまず一時的にではあっても戦略核兵器を再び持ち込む方向で米国と検討を行わねばならない。また欧州のように核兵器使用の意志決定に参加できる仕組みも取り入れるべきだ。

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