恐怖心あおる 「孫死ぬ」「悪霊強い」
僧侶を名乗り開運グッズの購入者から現金をだまし取ったとして、京都府警が摘発した詐欺、特定商取引法違反事件。開運グッズ販売会社「幸せ工房」(東京都文京区)は、実在する寺の名前を出して信じ込ませ、個人情報を聞き出してつけ入りながら現金を要求していた。
「孫が死ぬ」「家まで行くぞ」
大阪府の80代女性は幸運を願い先祖供養を申し込んだ。幸せ工房は女性の恐怖心を巧みにあおり、祈とう料として次第に数十万〜数百万円を無心するようになった。
開運商法の被害相談に応じる加納雄二弁護士(大阪弁護士会)によると、この女性は2014年ごろ新聞の折り込みチラシを見て幸せ工房に連絡。寺の関係者を名乗る人物に、聞かれるがまま家族構成などを教えている。先祖供養を勧められ、寺名義の口座に50万円を振り込んだ。その後「悪霊が強過ぎる」「子孫に恐ろしいことが起こる」などと強い口調で告げられ、恐怖を感じて数回にわたり計700万円以上を振り込んだ。
加納弁護士によると、13〜14年ごろには、幸せ工房ではなく、別の名前の開運グッズ販売会社による被害が起きている。雑誌広告などを見て連絡してきた人に人生相談を持ちかけ、「悪霊がついている」などと多額の祈とう料を請求し、寺の口座に金を振り込ませる手口だったという。
加納弁護士は「寺の名前を出して近づいてくるが、やっていることは宗教行為ではなく詐欺や脅迫。よく知らない人に個人情報を明かさないでほしい」と注意を呼びかけている。【宮川佐知子】