カニエ・ウェストがガン推しする「Tidal」は成功していると言えるか?

2016.02.17 10:05
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エンタメ業界だけでなく、ガジェット・IT界をも時に騒がすカニエさんですが、まずは、カニエさんのこちらのツイートをご覧ください。




「Appleに俺のアルバムは絶対ださない。販売もない…。聞けるのはTidalだけ」




「くそうるせーこと言ってないで、素晴らしさを楽しめよ」




「友人、ファン、音楽好きのみんな、Tidalに登録してください」


音楽ストリーミングサービスは、日本でも最近やっとけっこう普及してきた感じがします。米国では、一足先にユーザー数上昇するとともに、ここ数年大きな話題に事欠きません。カニエ・ウェストさんが自身の最新アルバム「The Life of Pablo」をストリーミングサービスTidalのみで配信するとして、これまた話題になっています。プラス、前述のカニエさんのツイートで、彼がどれだけTidal推しかがよくわかります。日本では少々馴染みの薄いTidalですが、何故カニエさんがここまでTidal推しなのかと言いますと…。

Tidalは、高音質のロスレスオーディオとHDミュージックビデオの配信が特徴的なストリーミングサービス。月額19.99ドル(約2,300円)で利用が可能で、現段階では日本非対応。2014年にノルウェー&スウェーデンの企業Aspiroが開始したものですが、2015年にはProject Panther Ltd.に買収されました。このProject Panther Ltd.は誰の会社かと言いますと…、アメリカ音楽会の巨匠ジェイ・Zさん。買収以後「アーティストがやる初のストリーミングサービス」「アーティストが所有するサービスを始めることで音楽の価値を維持する」などと歌っています。高音質/高画質以外にTidalの特徴として、「アーティストオーナーシップ」があります。買収後のサービス再リリース会見では、ジェイ・Zさんを始め、ビヨンセさんやマドンナさんなどがTidalのオーナーだと紹介されています。そう、ここですね。カニエさんもそのTidalオーナーの1人なのです。だからこそ、自身が関係者の一員であるTidalをガン推ししているわけです。楽曲を限定配信し、宣伝もする、そうしてサービスを拡大していこうと努力しているのです。アーティスト自らが関係するとなれば、独自コンテンツ、先行配信、限定配信に強いのがTidalの魅力であり、人気の秘密となります。

現に、米App Storeでは、無料アプリのトップになったばかり。カニエさんもこの通り喜びのツイートを。




「みんなTidalに登録してくれてありがとう。Tidalは世界ナンバーワンアプリだ!!!」


Tidalは、強みの限定配信で話題をさらっています。まずは今年1月にリアーナさんが「Anti」を、先週にはビヨンセさんが「Formation」をTidalにて配信しています。そして、第3弾としてカニエさんの「The Life of Pablo」が登場。ビッグアーティストのコンテンツ投下により、Tidalは大きな注目を集めました。


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上のグラフは、Tidalのグーグルトレンドサーチ。なるほど、コンテンツ投下によってわかりやすい結果がでています。特に、リアーナさんのアルバムは24時間限定だったため、急激な伸び&急降下をみせています。一方、ビヨンセさんの「Formation」は、他サービスから配信される予定がないことが明らかになっているので、楽曲発表後の下落も緩やか。カニエさんも冒頭のツイート通り、他サービスでは配信予定なし。

大物の限定コンテンツに、無料アプリナンバーワンという功績。では、Tidalは成功していると言えるのでしょうか。それは、これまた以下のグラフを見ればわかること。


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Tidalは再リリース後、緩やかではありますが成長をみせています。さすがトッププロデューサーのジェイ・Zさんだと言えるでしょう。しかし、それは限定コンテンツという起爆剤によるもの。逆に言えば、起爆剤を投下し続けなければ難しいということです。TidalやApple Musicが、ビッグコンテンツで一時的に注目を集める一方、Spotifyはコンスタントに人々の感心を集めています。起爆剤なしで、ね。

Tidalは起爆剤で果たしてどこまで行けるのでしょう。カニエさんのがんばりに期待。


source: Wikipedia

Alex Cranz・Chris Mills - Gizmodo US[原文12
(そうこ)

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