心理学がどんなふうに「実際の役に立つか」という時、比較的持ち出されるのは行動主義による「学習」であったりする。
フロイトが持ち出されることは、その知名度に照らし合わせれば、少ない。
最近の日本におけるアドラーブームなどは、見方によってはまるで、不愉快なフロイトを葬り去りたいという「無意識の衝動」の現れのようにすら見える、というのは変にフロイトに偏りすぎだろうか。
GTDには「収集」という手法がそうそうに登場する。
まずあなたが意識している、していないにかかわらず、“すべて”の「やるべきこと」を把握し、1カ所に取り込んでいく必要がある。そして、それがどういう意味をもつのかを明らかにし、次にどうすればよいのかを見極めないといけない。(p40)
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わたしはこの種の表現をはじめて読んだ時「うわ!フロイト」と連想せずにはいられなかった。
日本人にはちょっと理解しがたいが、アメリカの知識人で「フロイト」の基本的な思想をスルーしている人というのは、ほとんどいないと思われる。彼らにとって「フロイト」とは「常識」と言っていい。
「分析治療を行うに当たって服従してもらわねばならないただ一つの条件についてその遵守を約束してもらった。すなわち『あなたの頭に浮かんだすべてを私に話して下さい。たとえそれが不愉快なことであろうと、とるに足らないことに思われようと、今の問題には関係がない、あるいは無意味なことに思われようとも、とにかくそれらの一切を私に話すことを約束して下さい。その代わり、それをどんなテーマで語ろうとそれはあなたの頭に浮かぶままで差し支えありません』と告げた」。(169)
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もちろん「収集」とこの「分析のための約束」は、細かく見るとかなり違うが、大事なのは意識の表面までのぼってきていながら、何らかの理由があって「抑圧」されている課題について、徹底的に明るみに出すことを「始めの一歩」としている点なのだ。