2016年1月5日23時33分
公立はこだて未来大の松原仁教授らのグループは、人工知能(AI)を使ってSF作家・星新一の「新作」をつくる研究プロジェクトを進めている。その過程で生まれた、「超ショートショート」小説を公開する。松原教授は「今のところ、貢献度は人間が8割でコンピューターは2割程度にとどまる。これからさらにAIの比率を高めていきたい」と話している。
◇
スマホが鳴った。
深夜一時ころ。ここは研究室の中。
鈴木邦男は、先月ここに配属されたばかりであるが、平均帰宅時間はすでに深夜零時を超えている。
邦男は大きなあくびをしながら、ポケットの中からスマホを取り出した。
「鈴木邦男さんですか?」
「はい、あなたは?」
「わたしは悪魔」
「イタズラならよしてくれ。僕はいまレポートで忙しいんだ」
「なんでも一つ願いを叶えてみせましょう」
「バカバカしい、さあ、切りますよ」
「お待ちください、一度試してみてからでも損はないでしょう?」
「それなら、このひどい眠気をなんとかしてくれ。レポートが進みやしない」
「お安い御用です」
悪魔がスマホ越しに何やら呪文を呟いたと思うと、邦男の眠気はさっぱりと消え飛んだ。レポートもばっちり書けた。
しかしそれ以来、邦男は一睡もすることができなくなった。
おすすめコンテンツ